フェズのメディナ admin

ティトゥアンからバスで7時間。道中通り抜けてゆくリフ山脈の山々や平野に広がった農場を眺めていると、イスラムの国であることをつい忘れてしまうほど、ヨーロッパと間違えそうなほど牧歌的な風景です。5箇所くらいのバス停や休憩所で30分づつ停車しては、荷物を積み降ろしたり乗客が入れ替わったりしてゆきます。地平線の向こうに、モロッコでも最も歴史の古い街、フェズの白い街並みが見えてきたのは、夕日が大分傾いてからでした。

バスターミナルで30分近くかかってようやくタクシーを捉まえ、安宿の集中すると言う旧市街メディナまでやって来ました。ブージュルード門に到着した途端にホテルの勧誘に囲まれます。目的のホテルに向うに従い、道は細くなり、客引きたちの叫ぶ声が大きくなり、あちこちのレストランから立ち上る湯気や匂い、無数のラジカセから流れる雑多な音楽、しつこく付き纏うホテルの勧誘の訛った英語。エジプトのカイロさながらの混とんが僕たちを待ちかまえていました。

安宿とは言っても150〜200ディルハム(約2,070〜2,760円)。シャワーもトイレも共同で、温水シャワーは時間が決められているようなところがほとんど。あまり条件の良いホテルはなさそうです。とりあえず一泊できる場所を確保して、市内に繰り出しました。
ティトゥアンで美味しいタジンやクスクスが食べられなかったので、少し奮発してレストランへ。客のいるテーブルをおねだりして歩き回る3匹の猫と遊びながら、念願のタジンとクスクスを頂きました。

翌日、メディナ周辺で条件の良いホテルを探しましたが、いい場所が見つからないので、断念して新市街に引っ越し。方々を歩き回って見つけたHotel Royalは、清潔そうな部屋、ベッドも広く、利用時間が限られているものの熱々のシャワーとトイレが付いていて、150ディルハムと好条件です。
受付の主人は無愛想ですが、ある日洗濯物を室内に干したまま外出していたら、全部屋外で乾かしてから畳んでおいてくれたり、毎日部屋をキレイに掃除してくれたり、なかなか良いホテルでした。

フェズのメディナは、観光案内所で専門のガイドを紹介してくれるほど、大きくて迷路のように複雑です。ガイドブックに紹介されている分かりやすいコースを辿るだけでも、何度か人に道を訊ねないと目的地まで辿り着かない。僕たちがメディナを一周した日は、イスラムの休日である金曜日だったため、開いている店も人通りも少なく、すいすい歩いて回ることが出来ました。
ところがシーズンオフが祟って、主立った見どころはブーイナニアマドラサという建物を除いては、すべて工事中。繊細なイスラム建築を目一杯堪能するには至りませんでした。

メディナの西側には、タンヌリと呼ばれるなめし革職人の集るエリアがあります。辺り一帯に動物の皮の異様な臭気ただよっています。入場料をせびる男を無視しながら「見学無料」と書かれた階段を上ると、眼下に革染め工場が見渡せるテラスがありました。
休日にも関わらず、10人くらいの男が全身に染料を浴びながら、大きなラクダの皮から小さな羊の皮まで手作業で染料壺に漬け込んだり、洗ったりの作業を繰り返しています。腰をかがめながら、重たい皮を扱う重労働です。その大変そうな仕事ぶりと、夕日に照らされてキレイな染料壺の集合体に、しばらく鼻が曲がりそうな臭いも忘れて見入ってしまいました。
ここで染められた革が、モロッコを代表するお土産物のバブーシュやカバンなどの革製品として、加工されてゆくのだと思うと、タンヌリの肉体労働者たちが観光の街フェズを支えているように思えてきます。

Written on 31st 1月, 2008 by admin · No Comments »

コメントを投稿

ヒント

コメントを投稿するには ログイン/登録 する必要があります。

はじめてコメントを書く時、あるいはまだ登録していない場合には、こちらを読んでみてください。