ペトラの岩 admin

ホテルの引っ越しなどでどたばたした日とその翌日に、ペトラ遺跡に行ってきました。
ペトラ遺跡はヨルダンで最初に世界遺産に登録された場所としてはもちろん、インディージョーンズ最後の聖戦の舞台として使われたことでも有名です。複雑な地形の岩山をくりぬいて神殿や墓、劇場、住居などが造られた風光明媚な観光地です。アラブの国にありながら、イスラム風の建築では無くローマ建築の影響を強く受けた円柱や写実的な彫刻で装飾された建物は、過去にこの地を支配していたナバタイ人が作ったものとされています。

ゲートをくぐり抜けると、シークと呼ばれる細く削られた岩の谷間が待っています。谷間はまれに降る雨が濁流となって流れる事で自然に削られた地形で、その谷間を守るようにダムが造られたそうです。さらに谷を越えた先にある市街へ水を運ぶためにシークの両側に水路が設けられ、ナバタイ人の高い治水技術を確認する事が出来ます。
この辺りの岩はピンク色をした砂岩で、ところどころで波模様になった地層が装飾の役割をしているように見えます。

約1.5km続くシークに彫られた祠や彫刻を眺めながら歩いて行くと、最初の見どころとなるエルハズネが登場します。狭く険しいシークの壁の間から姿を現すピンク色の神殿は、大自然の中に忽然と現れる人類の歴史の痕跡。ピンク色の岩の美しさももちろんのこと、繊細さと雄大さを合わせ持つような巨大な彫刻建築の迫力に、大勢集った観光客もただぼう然と眺めるだけで時間が経つのを忘れてしまったようです。
全体の調和を崩さないように、丁寧に丁寧に削られているので、建物全体が細い縞模様で覆われていて、専用の工作器械を使ったようにも見えます。煉瓦や石を積み上げたのでは無く、巨大な岩山を削って作られた建物だということを忘れそうなくらい、精巧に計算に従って作られています。現在同じものを人類が作る事が出来るかどうかさえ疑わしい、素晴らしい芸術品であることは誰の目にも明らか。

さらに進むと、エルハズネを幾分か小さくしたような墓が建ち並んでいて、建築の品評会のような様子。その先には円形劇場跡や王家の墓などが建ち並び、視界をとりまく岩山がことごとく削られて門や柱や天井になっています。ローマ式円形劇場跡の正面に、岩山を削った住居跡をそのまま利用した公衆トイレがあり、その内部の岩の模様が素晴らしい。トイレにしておくのがもったいない位です。

ローマ様式の石を積み上げた列柱や神殿の崩れた跡を横目にさらに進むと、エルディルと呼ばれるさらに大きな神殿への階段が現れます。950段あるという階段は岩山の地形をそのままに、階段だけ岩を削ったり、石を積み上げたりして作られていて、足下が不安な上に、二人とも無口になるほどキツイ。
何とか山頂まで登り詰めると、傾いた太陽に照らされ立体感を増したエルディルを拝む事が出来ました。45mもの高さの神殿は、岩から削り出して作られたとは思えないほど、重厚で凹凸のハッキリとした表情で静かに観光客を見下ろしています。

気がつけば、山頂にいるのは僕たちともう一組のカップルだけ。あまり夕日を楽しんでいると、帰り道が真っ暗闇になる可能性があるので、急ぎ足でもと来た階段を降りてゆく事にしました。登る時には気がつかなかった、人が描いたような模様の岩が、夕焼けの赤味を帯びてさらに魅惑的な壁紙となって岩壁を彩っています。
気ままに写真を撮っている間に、頂上にいたカップルに追い抜かれ、気がつけば周囲は真っ暗。足場の悪い砂地やローマ時代の石畳を、デジタルカメラを再生モードにして液晶画面の明りをたよりに夜道を歩く事になりました。ところどころで店じまいに精を出すベドウィンの商店が照らす電灯を除けば、本当に闇の中。シークの狭い谷間では月明かりさえも遮られ、ナバタイ族がペトラに繁栄をほこった時代にタイムスリップしたかのような錯覚にとらわれます。脚を棒にしながら入場ゲートに到着した時には、ホッとしました。

とても一日では見てまわる事の出来ない遺跡群を抱えたペトラは、ヨルダン観光の最重要拠点として毎日たくさんの観光客を迎えています。僕たちは翌日も続けて観光しましたが、それでも隅々まで見る事は出来ない。出来ればもう一度来て、バラ色の神殿を眺めてみたい気がしています。

Written on 21st 1月, 2008 by admin · No Comments »

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