アッシジの青い空 admin

スイスから入って、いくつかの大都市を点々としつつ、南下してきたイタリア。今度は北上してフランスに向います。同じルートを辿れば、もちろんもと来たローマに到着しますが、出来るだけ多くの都市を見てみるため、ローマを越えて、ブーツ型のイタリア半島中央を走るアペニン山脈に囲まれた、アッシジへ。
ネットで検索しても、アッシジの手頃なホテルが見つからないので、アッシジに近いペルージャにあるホテルに泊まり、そこからアッシジまで遠征する事にしました。

ペルージャは丘の頂上部分に造られた、狭い面積にぎっしり建物が詰まった町。この地方の小さな町は丘や山の頂上を利用して造られたものが多く、過去の戦争から町を守るため、自然の城塞として機能していた事は容易に想像できます。
市内を車で走ると、山の形に沿ってクネクネとカーブの続く道があるかと思うと、急な坂道が現れる事があり気が抜けません。長時間のドライブの後、初日は大人しくホテルで休んで、翌日から行動開始。アッシジの町へと車を走らせます。

アッシジへは車で1時間程度。遠くにアッシジの丘が見えてくると、頂上に寄り添うように集った建物とそれを取り巻く緑と城壁が、ドラマチックな風景となってドライブを楽しくしてくれます。丘の中腹にある駐車場に車を停めて、その先は歩き。すぐに、古いけどキレイに修復され、いかにも観光地然とした石造りの門や、梁を留める金具が外壁に点々とある住宅に囲まれます。
日本で言うところの五月晴れ並みの青空。刷毛で引いたような雲がいくつか浮かんで見えます。クリーム色に統一された建物の壁が、青空にとてもきれいな組合せ。

最初に向ったのは、この土地を代表する聖人サンフランチェスコに生涯忠実に尽くしたとされる、サンタキアーラを奉ったピンク色の聖堂。緑に囲まれた丘の上に、ピンク色と白の縞模様を描いた外壁の大理石の建物は、質素ながら女性らしい優しい表情をしています。静かに内部に入ると、翼廊の壁面に描かれたフレスコ画と対面します。1997年の地震で倒壊した傷跡が生々しい。一部分だけが新しい漆喰にはめ込まれる形でもとの場所に展示されています。
地下の聖堂には、サンタキアーラ自身のほか同時代の修道士の着た服装などがガラス張りのケースに展示されています。とても着心地が良いとは思えない麻袋を縫い合わせたような洋服や蝋人形で再現されたサンタキアーラの遺体にしばし見入ります。

聖堂を出たら、石畳の坂道を上るようにして、丘の最も頂上にあるロッカ・マッジョーレへ。町の雰囲気に似合わず大きな城塞は、アッシジ全体と麓にある町々を見おろす最高の展望台。戦いのあった時には、さぞかし見張り塔としての機能をしっかりと果たしていたと思われます。手前の道路から見上げると青空に太陽を照り返す城塞の壁が眩しい。中は歩いて見て回れるようになっていて、細く暗い階段を上ったり、城塞の本体と塔を繋ぐ細長い通路を歩いたり、あちこちを探検できます。
町を見おろすとアッシジ最大の見どころの、サンフランチェスコ聖堂にたくさん観光客が集っているのが見えました。放蕩を尽くした貴族の豪奢な生活から一転、清貧の修道士として神に一生を捧げたサンフランチェスコの聖堂には、巡礼のキリスト教徒も多く集ってきます。

僕たちの興味はサンフランチェスコそのものよりも、ジョットが描いたという聖堂内の一連のフレスコ画。まずは腹ごしらえに、町の中心地コムーネ広場でサンドイッチの昼食を済ませて、町の外れにあるその教会まで歩いて行きました。坂道が多いので、実際に歩くと、城塞から見ていたよりも距離があるように感じます。
聖堂は上下に二重となった不思議な構造を持っています。静かな上部聖堂内に入ると、壁一面に描かれた28点からなるフレスコ画を、端から順番に見るために壁を見上げる人の列が出来ています。壁画に描かれている内容は、ガイドブックにある説明(と言っても題名だけ)が無いとさっぱり何の事だか分かりません。聖書の逸話を描いたものとは違って、背景となっているサンフランチェスコの生涯に関する情報があまりにも乏しいので、意味も分からず進んで行くと、28点の中で一番有名でお土産屋の商品にも印刷されている「小鳥に説教をするサンフランチェスコ」の絵まで到達。教会の背面にある扉の上に描かれているため、影になってしまい見づらいのですが、素晴らしい色使いと後光に照らされて一際目立つサンフランチェスコの優しい表情が印象的。

最後にカルチェリの庵という、サンフランチェスコやフランチェスコ派の信者が隠遁生活をしていたと言う、小さな僧院に向います。パーキングからカーナビの指示に従って進むと、だんだん農家の私道のような場所へ。道が舗装されなくなり、轍だけのダートになってしまうと、あたりの住人に不審に思われながら町へ引き返し。再度カーナビを設定し直して、無事到着しました。
陽が傾いてきたため、風が強く寒くなってきた山道を5分も歩けば僧院に辿り着きます。サンフランチェスコの祈りによって湧き出たと言われる井戸のある広場から中に入ると、身をかがめてやっと通れるくらいの狭い通路を通って、サンフランチェスコの寝室や聖堂に続きます。子供だったら大喜びで探検ごっこをしそうな、岩がむき出しの洞窟の中のような場所。こんな冷たく何もない狭い空間で、毎日を過ごすとは、宗教に支えられた人の精神力とは凄まじいものだと考えさせられます。

静かに厳かに、山の自然や動物たちと時間を過ごして修業を積んだ修道士たちに思いを馳せながら、アッシジの町を後にしました。

Written on 18th 4月, 2008 by admin · No Comments »

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