街の美しさとポートワインに酔いしれる(1) admin

コインブラからの道中、道路沿いを歩く巡礼者の数が増えてゆきます。ポルトガルの人々にとって、そしてヨーロッパ各地からやって来るカトリックの人々にとって、5月13日が如何に大きなイベントであるかを感じさせられます。道端には巡礼者達をサポートする炊き出しや、にわか売店が立ち並び、即席の足裏マッサージスタンドが繁盛しています。ファティマへ向って歩く人の表情は、歩き始めたばかりのハイキング気分で楽しそうな顔から、長時間太陽に晒されて疲れ切ったものまで。

コインブラから2時間。ポルトのホテルは幹線道路沿いのPark Hotel Porto Gaia。ポルトの旧市街とはドウロ川を挟んで反対側、ヴィラノヴァデガイアというポートワインの醸造所が立ち並ぶ新市街エリアにあります。ホテル周辺の雰囲気はヨーロッパの典型的な近代都市で、高速道路が交差し、トラックが時速100kmで走り抜けてゆく。決して情緒のあるものではありません。

ホテルのチェックインが済むと、昼食を食べる場所を探して、旧市街の方向に車を駆りました。
ヴィラノヴァデガイアからやって来ると、ドウロ川に掛かる巨大な橋、ドンルイス1世橋を渡らなければなりません。ホテルでもらった地図を見ると、旧市街は道が入り組んでいて駐車場を見つけるのに苦労しそうだったので、橋を渡らず、川の手前で出来るだけ橋に近いところで駐車し、歩いて橋を渡る方法を考えました。

車を走らせていると、高台になっている道路から、旧市街の姿が見えてきます。川面に反射する太陽がきらきらと細かく輝き、船が行き来するシルエットが見えるドウロ川。対岸にグリザイユとなって見える旧市街の家々の風景は、素晴らしいの一言。
新旧の市街を結ぶドンルイス1世橋は、巨大な鉄のアーチでドウロ川をひと跨ぎにし、細かな鉄骨の交錯する様子がレース模様の如く見える。岩肌の見える高台に古い町並みが連なり、人工的な直線と曲線が描くダイナミックな風景に思わず嘆声が漏れ、目は橋に釘付けになります。
あと50mという所で運良く駐車場を見つけ、車を停めると急いで橋まで歩きました。
橋は、アーチの袂で繋がる車道と、アーチの上を走るトラムのための線路との両方で両岸を結んでいます。歩行者はどちらも歩いて渡る事が出来ます。アーチの上下で高低差が50mはありそう。視界を全部覆ってしまうほど立派な大きさなのに、華奢な印象さえある建造物です。

橋を渡って、対岸の観光客がたくさん集るエリアへ。川を見渡せる岸辺にたくさんカフェやレストランが並んでいます。食事の時間がすっかり過ぎていたため、客足は遠のいてしまっていますが、どの店も営業中の様子。Francesinhaという面白いメニューを見つけて、そのカフェのテーブルに座りました。すぐ目の前の川には、観光客向けであろう、Cruzポートワインの樽を載せた帆船が浮かんでいます。Francesinhaは、豚肉とハムとソーセージを挟んだサンドイッチに、上からとろとろに溶けたチーズソースを掛けたような食べ物で、どうやらポルトガルの名物料理。フライドポテトもいっぱいでボリュームたっぷりです。その他にテーブルでアルコールの火を使って焼くチョリソー(パン付き)と、ビール(つまみのオリーブ付き)とミネラルウォーターを頼んで、11.50ユーロ(約2,085円)となかなか安い。

お腹が一杯になったところで、旧市街の散歩。やはり坂道がキツイ。狭い路地を見上げると、洗濯物が揺れていたり、ベランダに鉢植えが飾られていたり。パリやプラハのように、古い建物ばかりと言った感じでは無いのに、とても旅情を掻立てるような風景が次から次へと現れては消える。観光客を飽きさせない街です。
しばらく歩いていたら、観光名所のひとつであるカテドラルの前に着きました。外も中も改装中。でも丘の上からの眺めは最高です。

街の中心の方から騒がしい音がするので、サッカーかなにかで盛り上がっているのでは無いかと、やじ馬根性むき出しで歩いてゆくと、大学の卒業パレード。ここでもコインブラ同様、山車に乗った学生たちが、おそろいの帽子を被って騒いでいます。コインブラと違って酒が禁止されているのか、酔っぱらった学生がいない分大人しい。
パレードで道がふさがっていて、その先に行けそうもないので、橋へ戻る方向にあるサンベント駅に立ち寄りました。この駅にあるアズレージョ(タイル画)が見事であると有名。これまでリスボンなどで多く見てきた、建築装飾として、石材彫刻に取って代わって使われるようになったタイル画ではなく、絵画のように過去の戦争や歴史上の出来事を描いたアズレージョ。その繊細なブルーの色調に溜息が出ます。修復のために透明シートで覆われていて、よく見えない場所もありますが、それでも充分素晴らしさは伝わってきます。

帰りのドンルイス1世橋は、トラムの走る線路沿いをゆっくりと歩いて渡りました。トラムは橋の手前まで速く走ってきて、橋の上はゆっくりと走るので、時間をかけて記念撮影が出来ます。橋の上から見えるヴィラノヴァデガイアは、旧市街と同じ赤い瓦屋根と白く塗られた壁の連なる美しい風景が、高台の上から川の近くまで広がっています。その多くはポートワインの醸造所。ドウロ川の上流で造られたワインは、いったんこのポルトまで運ばれ、さらに醸造に時間を費やし、世界各地ヘと向って港から出港してゆきます。

Written on 3rd 7月, 2008 by admin · No Comments »

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