バルセロナでの観光を終え、スペインで最も長い時間を過ごす予定のアンダルシア地方へと、僕たちは車を走らせました。スペイン第二の都市だけあって、バルセロナでは新旧のビルが林立する市街地で観光する事がほとんどでしたが、ここから南下するに従い、だんだんとリゾートの雰囲気が味わえるようになってきます。
最初に向うのは、バレンシア。1日目はバレンシアまでの中継地点になる、タラゴナまで走って、いったん休憩します。翌日にはバレンシアに到着の予定です。
バルセロナでは、ガウディの作品だけでなく、モデルニスモの傑作のひとつとされるサンパウ病院に遊びに行ったり、フンダシオ・ジョアンミロで純朴なアートに触れたりして過ごしました。
カタルーニャのイメージそのものの、高い青空と太陽が頭上に容赦なく降りかかる日があると思えば、時折雨に降られることも。1992年のオリンピック会場ともなったモンジュイックの丘に登り、城塞跡から見下ろすと港やマリーナにたくさんの船が停泊していたこと、これから海へ運ばれて行くのか、ミニカーのように見える自動車が几帳面に並んでいたことなどが印象的です。
どこで紛失したのか、地球の歩き方スペイン編が無くなってしまいました。そのまま旅行を続ける事もできますが、行き当たりばったりな旅をしている僕たちには、これから向う先にどんな見どころがあるのかも、どういうコースを通れば効率良く行きたい場所に行けるのかも、全然頭に入っていません。
バルセロナに日本語の本屋は無いし、唯一可能性のある在住日本人向けの図書館も閉館しています。いろいろ探した揚げ句、JTBトラベルデスクに駆け込みました。幸いクレジットカード顧客向けの旅行サービスをやっているとのことで、カードを提示して事情を説明すると、快くオフィスにあったガイドブックを売ってくれました。最新版ではありませんが、これがなかったらその後のスペイン旅行は大変なものになったはず。とても助かりました。
タラゴナは、バルセロナから南西に80km。ローマ時代の遺跡があったり、ヨーロッパ最大級のテーマパーク(後で知った)PortAventuraがあったりと、近隣の国からの夏のリゾートとして重宝されている町です。僕たちが訪れた時は、シーズンオフなため、場末の寂れたリゾート地という雰囲気でした。車で町の中を流してみると、あちこちにリゾートマンションを売却するための張り紙が目立ちます。予約したホテルも通常の1/3近くの値段。閑散期を乗り越えるために、どのホテルも必死の様子です。
このホテル、改装したばかりのようなロビーとは裏腹に、部屋の間の壁がとても薄く、となりの部屋の物音がすごくよく聞こえるのが難点です。夜半に隣のオジサンが上げる奇声に驚き、壁をドンドンドンと叩くとようやく静かになって寝る事が出来ました。
タラゴナだけでなく、この地域の建物は共通して近代的で安普請な印象で、全く情緒がありません。
着いた日は、隣町まで買い出しに行き、そのままホテルで過ごしましたが、翌日ビーチに出てみると、とても良い。重たい体を無理やり水着に詰め込んだおばちゃんと、遠くの方に見える家族連れがいるだけで、それ以外は人が見当たりません。キレイな黄色い砂浜と、静かな海を独占出来ました。障害物がなくて解放されているため、音が反響せずに抜けて行く感じ。久しぶりの海と潮風に、清々しい気持ちになりました。