美術館巡りと闘牛の興奮まだ冷めやらぬうちに、僕たちはポルトガルのリスボンへ向かって出発しました。
リスボンへまっすぐ行くと一日がかりの移動になり、大変なので、スペイン側とポルトガルに入ってからの2箇所で泊まって休み休み旅の駒を進めることに。
サラマンカの街は、スペイン最古の大学を中心とした歴史的建造物が多く、世界遺産にも指定されています。街の中を散歩してみましたが、とにかく風が強くて寒い。市内には学生たちの姿が目立ち、大学都市ならではの易い食堂も多い。
唯一お金を払って入場した、アールヌーヴォー・アールデコ博物館は、色ガラスを多用した建物の構造が面白い事と、ラリックをはじめとするアールデコの装飾芸術がいくつか展示してあるほかは、目立って面白いものはありません。館内が暖かかったので、凍えた身体を元通りにするには十分役立ちましたが。展示の半分は、悪夢を見そうな古い人形の展示館となっていて驚きました。
その日、僕たちはサラマンカの中心部から外れた、高速道路から一本入ったところにあるホテルPartner Montalvoにチェックインしました。一泊50ユーロ(約8,940円)とそこそこ値は張りますが、中心部のホテルは少なく、値段も高めなのでここに決定。実際チェックインして部屋を見てみると、とても50ユーロとは思えないほど、真新しくキレイで設備も整った部屋です。高速道路脇にあっても、二重ガラスで防音も完璧。
夕食を近所のスーパーで買った食材で済まし、ワインも飲んで、シャワーを浴び、気分よく心地よいベッドで眠りに就いたのが12時頃です。疲れていたこともあって、僕たちはぐっすり眠りこんでいました。
ゆんじょんの叫び声で、飛び起きました。
ガチャガチャという音と共に、真っ暗な部屋の中にドアから漏れる廊下の灯りが入り込み、黒い人影が部屋の中に入ってきました。メガネが無くてもぼんやりと男性だと分かる。部屋に人がいると思っていなかったのか、黒い人影は何事か口にすると、バタンとドアを閉めて消え去りました。再び真っ暗な空間が戻ってきます。
全身の毛がまだ逆立っているのを感じながら、ともかく事態を把握しようと、灯りを付けて自分を落ち着かせる。時計を見ると1時半です。
入ってきたのは何者なのか、なぜロックをかけていたドアが開くのか、まだその人物は部屋の外にいるのか、盗まれたものは無いか。泥棒?強盗? ふたりとも想像を働かせては、部屋の中をうろうろ。
ヨーロッパでの旅に慣れ、すっかり安心して油断しきっていたところで、こんな事が起こるとは。
落ち着いて部屋をチェックし、なにも異常がないことを確認すると、ドアの外にその人物がまだいるかどうか、恐る恐るドアの覗き穴から確認。人影は見当たらないので、ドアを開けて廊下を確認。誰もいません。
ホテルのフロントに連絡をして報告しなければならないと気が付き、部屋の電話機から夜間勤務のフロント係を呼び出す。少し英語が通じ、事の異常さを理解した彼は、すぐに部屋まで駆けつけてくれました。
ドアのロックが掛かっていた事を強調しながら、出来事の一部始終を説明しました。監視カメラがあることを知っていたので、誰が入ってきたのかを調べるように、有無を言わさず送り返す。警察を呼ぶ事も考えながら報告を待ちました。
以下が事件のからくり。
ドアを開けたのは、前日にこの部屋に泊まっていた客のひとりでした。部屋が変更された事を忘れ、向かいの部屋に泊まっている同僚と戻ってきたところで、カードキーを差し込んだら、ロックされているにもかかわらず僕たちの部屋のドアが開いてしまった。監視カメラの映像を見せてもらうと、確かにそのとおりの様子。
カードキーは午前中に新しい部屋のものとデータを書き換えるはずだったのが、フロントの手違いで元の部屋のままになっていたとのこと。
ロックがかけてあるのに空いたのは、ドアの鍵の構造に問題があったのが原因。マスターキーでロックの有無にかかわらず、ドアが開けられるようになっていますが、普通のキーでも同じようにロックが意味をなさない状態になっていました。
すっかり目が覚めてしまって、ようやく寝付けたのは明け方も過ぎてから。翌朝、改めてホテルの担当者に説明をして、鍵の修理を担当する補修係の人にも実際の部屋のドアを使って説明。英語があまり通じない相手に、スペイン語を交えながら説明するのはとても疲れます。
部屋代は払いたくありませんでしたが、電話越しに無料の朝食で事を収めたい支配人と、すったもんだの挙げ句、半額まで下げさせました。
ども!
すっごい怖いです!
ドキドキしながら読みすすみました。
オチは勝手にビデオに何も写ってなくて、外国のお化けが出たのかと思いましたが、はっきりしてよかったですね!?
でも怖い!こんなことってあるんですね~。
ご無事で何よりです!!くれぐれも気をつけてね。
コメントありがとう。
ビデオに何も写ってなかったら怖いねー。
最初は強盗か誰かが写っているんじゃないかと思って、息巻いてフロント係に警察呼べって言ってました。
ホテルってオートロックだから信用しちゃってるけど、何があるか分からないから、どこかに宿泊するときには、要注意あれ。
僕たちはどこに泊まる時でも、貴重品の入ったバッグだけは、必ず部屋の家具などに金属のワイヤー付きの錠で固定しています。
怖かったよ。そのあとも眠ることができずに朝を迎えてしまいました~
わーん。読んでいて怖かったよ~。
何事も無くて本当に良かった。
「オートロック」だからって安心は禁物だね。
私も以前、似たような経験あります。
姉と2人でソウルのホテルに泊まったとき、
絶対にロックしていたのに
誰かがカギを開けて、部屋に侵入してきたの。
ドアの閉まる音で、私が目覚めて
飛び起きたら慌てて出て行った。
荷物を調べたら、姉の財布が盗まれていました。
ホテルのフロントに連絡して、監視ビデオを見せろって
頑張ったのに、最後まで見せてくれなかった。
いまでも、ホテル関係者が犯人な気がしています。
警察に訴えようとしたのに、ホテルの人と、そのときのツアコンが
「もう今日が出発日で調書を作る時間がないから
今回は諦めてください」と言い続けて、結局、姉が
「もういいよ」と言って、あやふやなまま事件は終わりました。
それ以来、どこの国に行っても
ホテルの部屋のカギには神経使っちゃいます。
これからの旅でも気をつけてね。
どの国でも悪い人は必ずいるから(とても残念なこと)旅中には何事にも油断は禁物ですね。
↑mackyの話がもっと怖かったよ~