翌日、ゆんじょんは無事にオープンウォーターを取得。僕はアドバンストオープンウォーターを取得できました。二人とも、よいインストラクターに恵まれて、めでたしめでたしです。
期待して行ったキャニオンとブルーホールは、その期待以上のものを見せてくれました。
強風が吹く中キャニオンに向う海岸でウェットスーツに着替えて、ぶるぶる震えながらエントリーです。キャニオンへは、サンゴ礁が長く伸びた海岸線に一箇所だけ深さも幅も3m程度の泳いで通れる通道があり、そこからエントリーする事になります。
朝9時過ぎにも関わらず、すでにたくさんの人で混雑するエントリーポイントを、前のひとが充分先に進んだのを確認してからざぶざぶ。水に入る時は寒くて凍えますが、水中に入ると不思議と寒さを感じません。
前日のポイントがぜんぜん良くなくて、紅海の評判に若干の疑いを抱いていたのですが、疑念は完全に晴らされました。澄んだ水。透明度は30m近く。美しくてまだ破壊の進んでいないサンゴ礁、何十種類もの熱帯魚の群れ、そして視界を覆いつくす蒼い蒼い海底。
そんな竜宮城のような場所を、力を抜いて、前日よりはうまくなった中性浮力を使って、ゆっくり時間をかけながら進むとキャニオンが海底に口を開けて待っています。最大で60mを越える水深を持つ海底のクレバス。裂けるように開いた開口部の一部が、人が充分通り抜けられるサイズに出来ていて、そこから内部に落ちてゆきます。水底から上を見上げると、さっき下りてきたクレバスが遠くの方まで覗ける。
ブルーホールは、その名の通り、青い穴。海岸線のサンゴ礁にぽっかりと開いた最大水深132mとも言われる深い縦穴です。ブルーホールから500mくらい離れたBellsと呼ばれる、人がやっと通れる程度の細い煙突のようなエントリーポイントから、一気に28mの深さまで下りてゆきます。頭を下にして降りてゆけば簡単らしいのですが、恐がって頭を上にしていたら、打ち付ける波に揉まれて岩の壁にガツンガツンと何度もぶつかって、痛い思いをしました。体勢を立て直すのと、BCDにエアを入れながら落ちるスピードをコントロールするのと、耳抜きをするのと、同時にやる事が多くて慌てしまう。何とか無事に出口にたどり着くと、正面は蒼くて暗い海の闇。自然の偉大さの前に、自分が小さくなった気がする瞬間です。
その後ブルーホールまで壁伝いに泳いでゆきます。流れも多少あるので、あまり体力を使わず、中性浮力に気をつけてさえいれば勝手に身体が運ばれてゆく。
水深28mから見上げる水面はきらきらとして眩しく、壁に張り付くたくさんのサンゴとそれに群がる魚たちが、テレビでしか見た事のないような映像を作り上げています。右手に壁、左は深い海の闇、足下は600mの真っ暗な断崖という場所をふわふわ浮かんで流されてゆくのは、これぞダイビングの醍醐味といった感じです。
最後にブルーホールに到着すると、外海よりも透明度が低いため、前後左右と足下に全く何も見えない状態になります。唯一頭上に見える水面とスノーケリングをする人々の腹がナビゲーションの頼り。インストラクターが前にいなければ、どの方向に進んで良いのかも分からなくなりそうです。
二日続けて5本のダイビングは、水から上がるととたんにふらふらするほどに体力を消耗させます。慣れない筋肉を使った事で足腰に筋肉痛を抱えながらも、無事ライセンスの取得も出来、紅海を満喫できました。
ダハブはエジプトの他の町と違って、客引きなども少なく、とてもゆったりと過ごす事が出来ます。リゾート地として外国人が集っている場所なので、物価は少し高めですが、それでも世界のどこよりも安くダイビングを楽しめるところ。ぜひまた戻ってきたいと思っています。
耕平様、ゆんじょん様、ああ、よかった。めでたし、めでたし。やる時はやりますねぇ、凄いバイタリティーですね。頼もしい。話聞いてるだけでパニックになりました。冷静沈着、タフガイ。いい線いってますよ。沈没したのはゆん様だけだった・・・。とにかく、寒さにはくれぐれもお気をつけて、お手てつないで離さぬように。 ご無事で、これからも祈っております。では。北野。