次なる目的地は、チェコのプラハ。写真では見たことがあっても初めての東欧へ向って、オランダからドイツを抜けてチェコ入りします。
最初に到着したのはハノーバー。まあそれなりに見どころはありそうでしたが、思い切って観光を割愛。ホテルで一泊してドライブの疲れを癒したら、そそくさとベルリンに向ってさらに車を走らせます。
ベルリンに入る前に、ポツダム宣言の町ポツダムに立ち寄りました。ページの多さ(=重さ)と情報の大雑把さでは日本一の「歩き方」ヨーロッパ編にはベルリンからのショートトリップ先として、ちょろっとだけ紹介されています。サンスーシ宮殿を始めとするプロイセン公国の残した建物がたくさん見学できます。
カーナビに誘導されるがままにブランデンブルグ門(ベルリンのそれとは別)に到着しますが、パーキングを探すのにひと苦労。ヨーロッパの駐車場は公共でも値段の高い地下駐車場か、路上駐車スペースしか無いのですが、路上駐車スペースはラインの色によって地元の人専用だったり、パーキングメーター制だったり、フロントグラスに紙製のメーターのようなものを取り付ける日本では見た事のない方式だったりして、分かりにくいのです。
良さそうな場所を見つけて駐車したとたんに、通りすがりの住人に「ここは駐車しちゃダメだよ」と言われて、結局地下駐車場へ。
ブランデンブルグ門の近くにあるツーリストオフィスで、役に立ちそうな地図やパンフレットを入手。手頃なホットドッグ屋さん(美味しい!)で軽く食事をしてから、サンスーシ宮殿へと歩いて向いました。
フリードリヒ大王によって建てられたロココ様式の建物は、正面に6段のワイン畑を従えた巨大な舞台装置のような場所。ワイン畑の下に作られた噴水の池から眺めると壮大な風景になるはずですが、あちこちに不格好な鼠色の小屋のようなものが視界を遮ります。何だこりゃと思って、パンフレットの写真と見比べてみると、どうやら公園内のあちこちに配置された彫像(たぶん大理石のもの)が寒さ対策なのかいたずら対策なのか、みな小屋の中に隠れている様子。大切に保管されているのは分かりましたが、せっかくの公園が台無しな感じが否めません。
サンスーシ宮殿では、音声ガイド付きのツアーに参加。日本昔話で語っていそうなナレーターの声に合わせて、宮殿内をぐるりと見て回りました。ロココ様式ならではのゴテゴテの装飾にむせ返るような感じがします。後年ヴェルサイユを模して作られた新宮殿が近くにありますが、近いとは言っても結構な広さの公園を、端から端まで歩くことになるのでギブアップ。中国文化に影響されて作られたというチャイナハウスを外から眺め、出入口付近にある教会で写真に納めて、ポツダムを後にしました。
ベルリン郊外のホテルで一泊した翌日、ベルリンのブランデンブルグ門を観に出かけました。東西ドイツ統一の象徴とも言うべき建物には、寒い平日にも関わらず世界各地から来た観光客で溢れています。門の西側には1989年までベルリンの壁があった場所に、ちゃんと跡が残されていました。
日本のテレビを通して、リアルタイムで歴史が動いているのを見ていたためか、なんだかとても感慨深い。かじりつくようにしてテレビを見ていたことを思い出します。お土産屋さんで壁のかけらが記念品として売られていました。
その後、寒さに耐えながら1時間以上行列をして、国会議事堂の屋上にあるノーマン・フォスターのガラスのドームに登ってきました。ベルリン市内を眺望できる場所ですが、見晴らしは良くてもあまり街が美しくない。それよりも連邦議会がドームの真下で開催中です。ガラス張りのドームを通して議会の進行が見れることがとても不思議でした。日本でも国会中継がテレビで見れますが、会議の有無に関わらず生で見学出来るのは、世界中でもここぐらいではないでしょうか。
次の日にはドレスデンに向いました。常に情報不足の僕たちに、意外な驚きを与えてくれた街です。あまり見どころを期待していなかったため、夜8時頃に街に到着。夜の高速を降りて、市内に入り、エルベ川に掛かる橋を渡っている時に素晴らしい夜景が目に入ってきました。二人揃って思わず感嘆の声が漏れます。ライトアップされた旧市街の大きな建物群に興奮気味な僕たち。いつもはホテルに着いたら外に出たがらないのですが、この日は荷物を置いたらすぐに飛び出し、再びエルベ川のほとりへ。
ザクセン侯国の首都として作られた旧市街は、川の水面に反射して素晴らしい夜景を作り出しています。プラハに近いというだけでルートに組み込んだドレスデンが、こんな美しい街だったとは。
翌日は旧市街の歴史的建造物をいくつか訪問。ドレスデン城に描かれた「君主の行列」が特に印象的でした。110mの長さに渡って、歴代の君主が馬に乗って行列する様を描いたマイセンタイルの大作は、奇跡的に大戦中の空爆を逃れたとのこと。
建物のあちこちに見え隠れする細かなバロック装飾を見つけるのが面白いのも、この街の特徴かも知れません。怪物のような大男が棍棒を持って門の下を通る人に襲いかかろうとしていたり、建物内部の螺旋階段に作られた窓が、階段の角度に合わせて傾いて菱形になっていたり、建物を繋ぐ橋の下にたくさん生き物が隠れていたり。映画やディズニーアニメで描かれるヨーロッパの王城やテレビゲームの世界の原形を見たような気がします。
そろそろプラハに向おうと、駐車場に戻る途中、不思議な楽器を奏でる人に出会いました。スチールドラムのような音色で、UFOのような形の金属の円盤を手でたたいて演奏する楽器。後で調べてみて分かったことですがHang Drumという2000年にスイスで開発された新しい楽器だそうです。道端で独りで演奏するミュージシャンにたくさんの見物人が小銭をあげていました。
ドレスデンの風景に、不思議とマッチするその楽器の音色が頭を離れないまま、バロックの街を後にしました。