オンフルールまでの3時間のドライブの途中、モンサンミッシェルの観光案内所でもらったノルマンディー地方のガイドマップに載っていた、バイユーという小さな町にあるタペストリー博物館に寄り道することにしました。
この日は、ホテルの部屋で夕食を食べることにしていたので、郊外のスーパーマーケットでいろいろ食材を買い込んでからの見学です。
閉館時間ぎりぎりに到着したからなのか、僕たちの他にはイギリス人と思われる(英語のオーディオガイドを聴いていた)グループだけ。一人7.5ユーロ(約1,185円)という田舎の博物館とは思えない入場料をしぶしぶ払いつつ、オーディオガイドに従って行けば閉館までには全部見終われることを確認。
一枚の長〜いタペストリーが奥まで続く廊下のような展示空間を、オーディオガイドを頼りに進んでゆく僕たち。タペストリーにはイギリスとノルマンディーの間に展開する、ノルマンディー公ギヨームを主人公とした物語が綴られています。タペストリーの端に到着したと思ったら、そこで廊下が曲がりまだ同じ一枚のタペストリーが続き、さらにもう一度曲がり角が。
結局ノルマンディー公のタペストリーだけがこの博物館の展示物だということが分かるまでに、ざっと30分ほどオーディオガイドを聴き続けて(それでも結構楽しい)歩きました。
出口にあるお土産屋においてあった日本語のガイドに書かれている内容によれば、11世紀の風俗を知る上での資料として、そして歴史上に(実際に?)あった出来事を記録した資料としてとても貴重なもので、世の中の誰もが一度は目にしたことがあるほど、あらゆる歴史文書に登場するとまで豪語されています。全然知りませんでした。
タペストリー博物館を出て、少し町中を散歩してみると、古い教会があったり、川が流れていたりしてとても可愛らしい町だということを発見。寒いけど、思わず歩いてみたくなる魅力的な町の風景に、意外にも良い場所に来てしまったことに感激しました。
そして、オンフルールに到着。こちらも事前の情報を全く持たずに、単純に次の目的地であるベルギーのブルージュまでの中間地点であるというだけで、ホテルをブッキング。一晩明けて、フランスを出る前に郵便局に行きたかったので街の中心部を目指すと、港を囲むように美しい風景が見えてきました。
現在はレジャーヨットの停泊所として使われている古い港は、三方を古い建物に、残る一方を跳ね橋に囲まれたこぢんまりとした場所です。寒いと感じるほどの空気の中、太陽がさんさんと射すカフェのテラスには、平日の午前中だと言うのに、ビールやワインを飲みながらおしゃべりを楽しむ人たちでいっぱい。パリでも珍しくない風景ですが、きれいなヨットが港の水面に反射して輝き、その向こうに見える教会跡を初めとした古い建物群を前にして、ぽかぽかの太陽を浴びながら目を細めているのを見ると、人生を存分に満喫しているのだろうと思えてきます。
僕たちももちろんすかさず仲間入り。テラスの最前列にテーブルを確保し、道行く人々をつまみ代わりに、しばらくエスプレッソやカフェオレを挟んでおしゃべり。時間がゆっくりと流れているのを感じました。
たっぷり太陽を浴びてから、国境を越えて、僕たちの旅はベルギーはブルージュへと続きます。