フィンランドから戻って、再びパリ。
知人に男女双子の赤ちゃんが産まれたとの連絡を受けて、挨拶に行きました。ロヴァニエミのマリメッコストアで買ったちいさな洋服が手土産。比較的高齢での出産ということもあり、出産前は大変な苦労をしたそうですが、母子(x2)供に元気で幸せそうな姿を見て、安心しました。
最近は高齢でも無事に赤ちゃんが産めるようになったのだなと、医学の進歩がちゃんと人の役に立っている事を認識。
知人はパリの15区に住んでいます。近所はオシャレとは言わないまでも、とても品の良い落ち着いた住宅街と活気のある商店街が隣り合わせになった場所で、広めの公園もあるし、サッカー観戦するフランス人に交じって一杯やるカフェもある。商店はどれもこぢんまりとしたものばかりで、住んでいれば自然とお互い顔見知りになって、よいご近所付き合いが出来そうな雰囲気です。パリでの生活の最も美味しい部分を満喫出来る場所かも知れません。
僕が住んだことのある場所は、あまりこういった雰囲気のところは無かったので、改めてパリっていいなと思いました。
そんな良い雰囲気のパリを垣間見たら、雨に降られながら北上。一路向ったのはピカルディ地方の玄関口、アミアンです。ここに来たのは、大雑把に言えば偶然。数日後にイギリスで合流する友人と過ごすため、フランスとイギリスの間に横たわるドーヴァー海峡に面するカレーからユーロトンネルでイギリスに渡ろうと考えています。そのためカレーとパリのちょうど中間地点にあたるアミアンで2日費やす事にしたわけです。
アミアンの情報はほとんど入手せず、モーテルの予約だけ入れて到着しました。何でもこの季節には珍しい雪と強風を伴った寒波がやって来ていて、寒いのなんの。車の寒暖計の表示が、14℃あったパリから100kmも北に行かないうちに、4℃まで下がりました。
途中のスーパーで買い込んだ食材を手に、モーテルにチェックイン。暖房をつけてもまだ寒い部屋で初日の夜を過ごしました。
翌日、アミアンの市内散策へ。夏と新年に極彩色にライトアップされることで有名な大聖堂は、ライトアップされていないためパッとしない、でも世界遺産に登録されるほどの美しいゴシック建築です。ちょうど日曜日のミサの最中でしたが、他の観光客が中に入って行くのに従い、僕たちも侵入。ミサの不思議な宗教儀式を間近で見られるチャンスはめったにありませんが、今回も偶然の機会に恵まれました。ミサ中にも関わらず、後陣にある有名な「嘆きの天使」と呼ばれる天使像の周りに、たくさんの人垣。
外に出て、サンルー地区を散歩。運河を張り巡らせたこの地区は、大聖堂のあるあたりと比べて驚くほど地面が低い。どうしてこんな地形になっているのか分かりませんが、階段を何十段も降りたのと、エレベーターまで設えてあったのが驚きでした。
観光局でもらった散策地図を頼りに、点在する見どころを見て回りますが、あまりの寒さに途中でギブアップ。急いで車に戻って暖をとり、レストランでじゃがいも(このあたりの名物)を食べるまでは、震えていました。
さらにサンヴァレリースュールソンムというドーヴァー海峡に面した小さな町まで足を伸ばしました。ここは、海峡からアミアンを越えて内陸に続く、ソンム川の河口にあたる場所。渡り鳥の経由地としてバードウォッチングする人に人気で、また独特の風景を持つエリアとして知られています。
アミアンを離れるとともに降り出したひどい雨のため、対岸が見えるかどうかという状態ですが、ビックリするくらい観光客が多く、皆車の中に入ったままじっと河口の方向を眺めていました。雨がボンネットに弾ける音を聞きながら、霞む対岸を眺めているのは不思議な落ち着きがあります。気がついたらしばらく眠っていました。