パリの観光の次の日、Place de Clichyの駐車場からヴェルサイユを経由して、モンサンミッシェルまで行く旅行に出発しました。
パリから1時間、高速道路を走るとヴェルサイユに到着します。宮殿は僕もゆんじょんも既に見たことがあるので、和田さんの単独見学としてもらい、その間に僕たちは宮殿の背後に広がる庭園へ遊びに行きました。
マリー・アントワネットにまつわるいくつかの建物が集合する、Domaine de Marie-Antoinetteが行き先。いくつかのエリアは修復途中で入ることが出来ませんが、遠くが霞んで見えるほど広い庭園内には、朝早くにも関わらず、家族連れからお年寄りまでが散歩やジョギングに励んでいます。
庭園は入場料がかからないので、ヴェルサイユに住む人達にとっては、休日を過ごす恰好の場所に違いありません。
再び和田さんと合流し、市内で昼食を食べた後、車は一路モンサンミッシェルへ。田舎道を長時間走ることになると聞いていたのですが、カーナビが選択したコースは高速道路をグイグイ飛ばす種類のルート。ノルマンディーをルーアン、カンなどの大きな都市部をかすめるようにして、北西へ。高速道路の左右には畑以外何もないような場所が続く所もあり、いかにもフランスの田舎ならではの雰囲気満点です。
モンサンミッシェルから20kmほど離れた地点で高速道路を降り、噂の田舎道が続きます。日本の道路と違って、高速道路で時速130km、一般道でも都市部でなければ時速90kmまで出せるので、距離があってもドライブしている時間は短いものです。
モンサンミッシェルが遠くに見えてくると、西日にシルエットだけが浮かび上がる姿が。3回目の僕でも感動的。到着したのは午後4時半頃。最上部の修道院まで行ってしまうと、あまりにも見学時間が短くなってしまうし、翌日の楽しみも残しておきたいので、麓の町並みをひやかす程度で引き返し、本日の宿のあるサンマロまでまた車を走らせました。
Formule 1というチェーンのモーテルは、フランス中に宿泊施設を展開しています。シャワーとトイレが共同のシンプルな3人部屋が特徴で、一泊40ユーロ(約6,312円)程度で泊まれるので今回の旅行では大活躍します。日曜日の夜遅くにつき、近所のレストランなどは軒並み閉店。疲れてギブアップしたゆんじょんをホテルに残して、和田さんと二人で旧市街のレストランまで夕食を摂るためにまた車を飛ばしました。
サンマロの旧市街は海に突き出した城壁に囲まれており、満潮時には高い城壁に打ち付ける波が、文字通りザッパーンと弾けるのが名物。車を停めたパーキングも城壁の淵にあって、レストランから戻ってきたら車のボンネットが波でびしょびしょになっていました。
翌朝、再びモンサンミッシェルへ。前日は島の周囲は砂州が見えていたのに、朝着いた時には満潮のため島の周囲まで海水が満ちていました。海に浮かんだようなモンサンミッシェルは初めて見たので、若干興奮気味のまま、頂上の修道院を目指します。
修道院の庭から見下ろす周囲の風景も不思議。徐々に引いてゆく潮が、砂州の上に波模様を作りながら、蛇行して遥か遠く視界の届かない海まで流れてゆくのがよく分かります。
シーズンオフでも観光客の絶えない修道院は、古く黒ずんだ石が積まれたゴシック建築初期の構造ですが、何度見ても不思議なほど崖っぷちに建てられています。外から見るとあちこちに取り付けられたガーゴイルが、映画にでも出てきそうなおどろおどろしい雰囲気を作り出しています。外部と違って内部のクロイスターはきれいな草木の茂った庭を真ん中に、円柱が何十本も並ぶ、落ち着きのある神聖さを感じさせる回廊。その美しさに感動したかと思うと、牢獄として使われていた時代に取り付けられた、城壁外部をほぼ直角に走るすべり台についたロープを巻き上げるため、罪人が中に入って走る回し車なんてものもあり、時代と時の征服者に、振り回され続けてきた修道院の運命に思いを馳せることになります。
ゆっくり修道院内を見学して、島のレストランでクレープにしては高価な軽い昼食を食べた後、次のホテルのあるオンフルールまで、再びドライブの旅が始まります。