いろいろ邪魔が入りましたが、なんとかギザのピラミッドまで行ってきました。
カイロからバスで約1時間。ローカルバスなので、地元の人ばかりで観光客はほとんどいません。運賃もひとり50ピアストル(約10円)から2ポンド(約41円)と格安。乗車するバスの経路とエアコンの有無によって金額に差が出ます。
バスを降りると次々とやって来るラクダや馬、馬車、タクシー(着いたばかりなのに)の押し売りや、間違った入り口を教える嘘つき商売人たちの間をすり抜けて、チケット売り場へ。もうクフ王のピラミッドが眼前に迫っています。
ピラミッドはエジプトで最も有名な観光地とは言え、あまり整備などはされておらず(修復は進められている様子)ただただ漫然と地表にピラミッドが聳え立っているだけ。最も大きなクフ王のピラミッド、スフィンクスを従えたカフラー王のピラミッド、小さいけれど3つの王妃のピラミッドも従えたメンカウラー王のピラミッドと、3つ並んだ姿は印象的です。小学生の時に「科学と学習」で読んだ人類の謎は、意外にもあっけなく間近に見ることが出来ます。周辺一帯に墳墓群が展開していて、修復途中の墓がたくさん地面に埋もれるように佇んでいます。
世界最大のクフ王のピラミッドを見上げれば、強大な王の権力と経済力に驚きます。最も美しいとされるカフラー王のピラミッドの上部に残った化粧岩はつるつるに磨かれていて、全体が化粧岩で覆われていた時代はさぞや美しかっただろうと思われ、遺跡として保存されるまでの間に盗まれたり破壊されたりしたことが悔やまれます。
一番遠いメンカウラー王のピラミッドまで立ち寄ると、往復12kmほどを歩くことになるため、ツアー客は大型バスで乗り込んでいます。それら大型バスの、クラクションと巻き上げる砂ぼこりを浴びながら歩いていると、ここでもまたラクダや馬のセールス攻勢。
歩いて行くことを目的としているのに、途中でラクダや馬に乗る人なんているのでしょうか。それともただ暇を紛らわせるために、ちょっかいを出してくるのかも知れません。いずれにしても何も考えていないと言うか、思慮が足りないと言うか。
ラクダが剽軽な顔をしているので、写真を撮ろうとすると、警官でさえもバクシーシ(要するに金)を要求してきます。タダでいいから写真を撮ろうと言うラクダ使いも、写真を撮り終わるとすかさずバクシーシを求めてくる。一緒に写真を撮ってもらったラクダ使いには、最初から1ポンドもあげないと言ってあったので、どんなにしつこくても断固拒否。強引ながらも写真を撮ることは出来ましたが、写真係のゆんじょんはちょっと焦っていたのか、すこし微妙なアングルに。
スフィンクスは、想像していたよりもピラミッドから離れていて、少し拍子抜け。でもそれだけ離れていても、スフィンクスを含めて全部がひとつのピラミッドコンプレックスだと知ると、規模の大きさに感覚がついて行けなくなります。
鼻を捥がれ、あごひげをイギリスに奪われたスフィンクスはなんだか人懐こくて、みんなの人気者です。修復は胴体部分の3分の1程度まで進んでいて、おそらく崩壊して無残な姿を露にしていた、前後の脚や尻尾が部分的に再現されていました。その巨大さゆえに修復にも時間がかかるのでしょう。
あちこち歩いたのでくたくたになりましたが、ギザでもっとも印象に残ったのは、ピラミッドではなく、ゴミ。カイロの街中もそうですが、まったくもってどこにでもゴミが捨ててある。
確かにゴミ箱は完備されているとは言えないほど、数が少ない状況ですが、ゴミの元となる可能性の高い食品やペットボトル飲料なども売っていない場所で、なぜこれほどまでにゴミが多いのか・・・。残念ながら、その一部は僕たちのような観光客が捨てたものもあるはず。世界遺産であり、人類の歴史を刻む重要な史跡に、もう少し公衆モラルがもたらされるとありがたいものです。