そしてさらに翌日、再び4時起きでマチュピチュ遺跡へ向うバスに搭乗。山登りをするため、バス停で買ったサンドイッチ(まずい)を食べてスタミナをつけます。前日とは比べ物にならないくらい良い天気で、きっと遺跡がキレイに見えるはず。まだ朝もやのかかった山頂へ向ってバスが進みます。
バスは6時ごろに遺跡に到着。遺跡の中には目もくれず、真っ先にワイナピチュ山の登山口に向いました。7時にならないと開門しないので、他の登山客に交じってしばらく暇つぶし。7時数分前にゲートが開くと、エントランスで名簿に名前とパスポート番号を記入して、いざ突入です。
クスコで同じホステルに泊まっていたトレッキングが趣味の日本人カップルから、かなりきつい山登りだと聞いていたので、それなりの覚悟をしてはいましたが、想像以上に厳しい。45度を越える急勾配の階段を、場所によっては金属のロープに掴まって登っていくのですが、高地に慣れたつもりの体でも20歩も進めば息が切れてきます。何度か階段の踊り場のようなところで休憩をとりながら通常一時間かかるというコースを、途中で道に迷ったりもしながら、40分で登り切りました。
遺跡の全体は前日に反対側から眺めていたので、それ自体にはあまり驚きはありませんが、朝もやが徐々に晴れていくに従って姿を現すところは、とても神秘的で、山を登った達成感と相まって感動的でさえあります。1時間くらいの間、もやの動きによって姿を変える遺跡に目を奪われていました。一緒に山を登ってきた20人ほどの欧米人達も同じように遺跡の様々な表情に捕われてしまっているようです。
山を降りる間に何組もの登山客とすれ違いました。その頃にはすっかりもやも晴れ、足場はしっかりとしていますが、高く上った太陽が容赦なく照りつけてくるので、ただでさえ厳しい急斜面が必要以上に体力を奪っていくのでしょう。僕たちよりも汗だくで疲れ切った人がほとんどです。朝一でワイナピチュを目指したのは、良い選択だったと思います。
それでもホステルに戻る頃には、マチュピチュ村の坂道でさえも辛く感じるほどにくたくた。ベッドに入ってバタンキューといった感じでした。
マチュピチュでの最後の日は特にやることも無く、かといってもう一度遺跡を訪れるには懐具合と疲れが予断を許さない状態だったので、ホステルをチェックアウトしてから列車の時間まで村のカフェやインターネットカフェで暇をつぶして過ごしました。帰りの列車はやはり窮屈なBackpackerでしたが、幸いなことに正面に座った欧米人のカップルが、途中の駅で下車したので後半は足を伸ばしてすっかりリラックスできました。また車窓から垣間見えた、夕焼けに染まったアンデスの雪峰は忘れられない美しさでした。
マチュピチュで過ごした4日間は、高い入場料や交通費を考えても価値のあるものだったと思います。