リスボンを去る日、僕たちはロカ岬へ向かって車を飛ばしました。
ロカ岬はユーラシア大陸最西端の地。何ともロマンをかき立てられます。ヨーロッパはもちろん、アジアやロシアなど各地からの旅行者が惹き付けられるのは、遠く遠くを目指したくなる人間の本能かもしれません。
リスボンから2時間も走れば到着。途中の街カスカイスまでは高速道路、その後は九十九折りの山道を行きます。大勢の観光客を乗せたバスも少なくないので、山道は混雑気味です。走っている途中はほとんど海が見える事はありません。
駐車場に到着すると真っすぐに岬へ。
突端にいるため、目の前の180度が海。水平線が遠くかすんで曇空と一体化しています。岬の周囲は、高さ100mはあるかと思える断崖が続いており、極限の環境条件でも繁殖できる、肉厚な植物が岩場に張り付くように緑を蓄え、様々な色の花を咲かせています。ひと際高い丘の上に赤く塗られた灯台があり、可愛らしく絵になります。
風が強くて吹き飛ばされそうですが、それも構わず安全のための柵を乗り越えて断崖の上を歩く観光客。僕たちも一緒になって柵を越え、ユーラシア大陸最西端の端っこがどうなっているのか見てみます。大西洋の波がはじけ散る崖っぷちでした。
岬の広場には、詩人カモンエスが詠んだ詩の一節が書かれた十字架が立っています。
岬の手前に立っている、観光案内所では最西端到達の証明書を作ってくれます。見栄えの異なる2種類の証明書が5ユーロ(約894円)と10ユーロ(約1,788円)。なぜかスペイン人のおじさん達が殺到する受付で、二人分作ってもらいました。
証明書を作ってもらったら、お腹が空いてきました。岬のある村のレストランは、どれも同じようなメニューの内容と金額。最も客の多い一軒A Casa do Luisを選んで、テーブルに着きました。
ゆんじょんがイカを炒めた料理、僕が鶏肉牛肉羊肉の串焼き。2品だけでも、付け合わせのポテトやパン、オリーブなどで、テーブル一杯になります。シンプルな料理なので味は素材そのものですが、とても美味しい。ポルトガルのレストランでは、いつも軽く食べるつもりがしっかりお腹一杯になってしまいます。
食事が終わって外に出ると雲が晴れ、太陽が燦々と差してきました。ここからファティマへ向かって再び高速道路に乗ります。