オークランドから車で4時間。カリフォルニア州で最大の国立公園、ヨセミテにやって参りました。
前評判が高いだけに、期待していきましたが結構がっかり。というのも、ヨセミテの一番美味しい時期を完璧に外しているため、初夏の雪解け水が豪快に滝となって落ちる様を見ることが出来ないし、春の花咲き乱れる高原も見られない。
とりあえずビジターセンターまで車を飛ばし、情報入手。意外と良くできている展示施設を覗いたり、映画を鑑賞。アンセルアダムスやその後継者の写真を眺めつつポストカードを購入。モーテルへ戻る途中でYosemite Falls(この時期は枯れている)とBridal Veil Falls(水が少ない)、El Capitanという巨大な岩壁を見て翌日に備えることにしました。
Yosemite Fallsを眺めるビューポイントにいると小熊がやってきました。こちらに気がついていないのか、食べ物を探すのに必死なのか、僕たちの存在を気に留める風もなく僅か20mほど先の潅木の上を歩き回っていました。あまり近づくと危ないと思ったので、興奮を抑えて写真を撮った後は、そっとその場を離れます。
翌日Mariposa Groveというところへ。世界最長寿の生命体ジャイアントセコイアが群生する森の中へ行ってきました。この日は朝から風が冷たく、駐車場に停めてある車のボンネットが霜で凍っていました。寒さ対策を十分にしてからいざ山へ。走っている途中で霰が降り、雪に変わっていきました。
ところが着いてみると、自動車の入場制限をしていてMariposa Groveの入り口付近では混雑しています。仕方なく別の目的地に変更することも考えますが、公園内のガソリンスタンドで給油して再度Mariposa Groveへ。今度は5分ほど待っていたら入場OKの合図があったので、またクローズされないうちに急いで車を走らせます。
徐々に高度を上げてゆくスイッチバックを登り詰めると、そこは赤い肌をした巨木の立ち並ぶ不思議な森。寒さはさらに厳しさを増していますが、デイバッグに水と栄養バーと傘、そして気合いを入れて歩き出します。
ジャイアントセコイアは樹齢3000年から4000年までにもなる事のある巨大なスギ科の木です。風雨や火災に強く、紅茶と同じタンニンが多く含まれているため、赤い木肌が特徴。倒れると細かなかたまりに破砕しますが、なかなか腐敗しないので倒れたままの姿をさらした巨木があちこちに転がっています。山を登りながら独特な名前をもった木を眺めて歩くコースなのですが、中には過去の公園管理の過ちからトンネルを穿たれたまま生き続けている木もあります。
最終地点にあるMariposa Grove Museumをめがけて歩くのですが、なかなか到着しない。雪がどんどん積もる中を二人してなるべく楽しいことを考えながら歩き続けると、ようやく小屋の集落が見えてきました。
残念なことにMuseumは閉館していましたが、その周辺は特に巨木が密集している地帯らしく、雪が降る中に赤い木肌が幻想的な風景を作っています。トレッキングの最終地点とも言えるFallen Tunnel Treeの前で写真を撮って、もと来た道を引き返しました。寒さと疲れでくたくたになったけれども、とても印象に残るトレッキングです。
翌朝別のトレッキングルートを目指して再度Yosemite Valleyへ。ルートは二つ。一つ目は短くて簡単なMirror Lakeへのルートです。本来雪解け水で湖が出来ているはずで、水に反射するハーフドームの景色が最高なはずなのですが、全く水の無い湖底で子供たちがはしゃいで走り回っています。
二つ目はVernal FallとNevada Fallへ向う急なルート。下流のVernal Fallへ行くだけでも往復4.8km、標高差も580mあります。2時間程でVernal Fallの滝の上に着いたところでUターン。3時間半位で戻ってきました。
他の国立公園でも言えることですが、こうやってトレッキングをしていると子供を担いだ夫婦がとても多い。軽いデイバッグだけでも結構大変なのに、子供を背中に担いで山道を上り下りするのは相当な山好きでなければ真似できません。大変な苦労をしてまで、山に登りたい、あるいは子供に景色を見せたい。まったくその気力と体力に感心します。