パークベンはルアンパバーンとフェイサイをつなぐボートの中継地点として栄えている町なので、物価が高めのようです。
高い宿泊代もそこそこ納得のいく設備があれば我慢できるのですが、世の中なかなか思うようにはいきません。
まず、部屋が汚い。汚れているというのではなく、ただ掃除を(しかも何日も)していないようです。床のあちこちに虫の死骸や綿ぼこり、トイレットペーパーの切れ端などの類いが転がっています。
タオルが汚い。さわやかなスカイブルーだったと想像されるタオルにはシミがあちこちにあり、洗濯洗剤のものだけとは思えない怪しげな臭いが漂っています。トイレットペーパーもありません。
シャワーが出ません。新しい省エネの手段なのでしょうか。全く出ないのではなく、シャワーヘッドの中央5つ程度の穴からしか水が出てきません。
水が排出されません。シャワーから出た水は床に溜まったまま排水溝から流れ出していかないばかりか、洗面台を使ったら排水溝から汚水が逆流してきました。
怒り心頭。まずタオルの交換とトイレットペーパーを要求。タオルはそれがキレイだと言い張るばかり、トイレットペーパーは2000Kipで買えと言うしまつ。代わりのタオルは隣の使われていない部屋から持ってきたようですが、同じ状態。何度か抗議を繰り返すと、外に出ていったまま呼びつけても戻ってきません。トイレットペーパーはとなりの部屋で2つ新品を見つけた(買わなくてもあるじゃないか)のでひとつ拝借。
水が逆流した頃にはゆんじょんも逆上。大問題なので、なんとか呼びつけて状態を見せますが、別の部屋を使えと言います。
見せられた部屋では水が一滴も出なかったり、ホットシャワーがなかったり。揚げ句の果てには追加料金は取らないから部屋を変えてやってもいいとの言い草。こちらは普通に掃除のしてある部屋でホットシャワーが出なければ90000Kipも払うつもりがない。
その後は、金を返せ返さないの押し問答です。これだけ英語で抗議できれば世界一周も怖いものなし。
いつまで経っても全く金を返す気配はありません。そのゲストハウスに泊まる気もないので「ビエンチャンの日本大使館と韓国大使館で苦情を訴えます」と言い捨てて出てきました。
通りに出ると同じスローボートに乗り合わせていた人とすれ違ったので、どこで泊まっているか、部屋はキレイかなどの情報を仕入れて別のところを探しに出ますが、結局すぐ隣のゲストハウスの部屋がホットシャワー無しだけど20000Kip(約285円)ということなので、そこに泊まることにしました。
虫が多かったり、タオルがなかったりと完璧ではありませんが、自分で選んだゲストハウスであれば納得がいきます。虫が多くてもチェンマイで仕入れた蚊取りラケットを振り回して、数十匹の蚊を一網打尽にし蚊帳を降ろせば安心です。タオルも実家から失敬してきた使い古しの手拭いサイズが活躍します。
今後は何があっても部屋を見ないで金を払うまいと心に誓った夜でした。
翌朝、暑さでよく眠れず疲れた体を引きずって朝食を食べに出かけると、お坊さんの托鉢に遭遇しました。町の人が知らぬ間に一列に並んで跪いていて、お坊さんが通ると手に持った皿やお椀から炊いたご飯やおかずを鉢に入れていきます。朝の涼しい空気の中で神聖な儀式を観たような気分で、とても印象深いものでした。
朝ご飯は近所の別のゲストハウスにあるレストランで食べました。女将さんの笑顔と甘くておいしいラオスコーヒーに昨晩の怒りも解けていくようです。