ダハブはエジプトの西側、対岸のサウジアラビアと国境を分けるように紅海に注ぎ込む、アカバ湾に位置する小さな町です。近隣にはシャルムイッシェーフというエジプトで一二を争うリゾートエリアもありますが、これはワールドブランドの高級ホテルが建ち並び、バックパッカーを寄せ付けてくれません。それに対して、ダハブは格安のホテルやダイビングショップ、レストランが並び(それでもエジプトの他の町よりは物価が高めですが)バックパッカー天国のような様相を呈しています。
安くダイビングやスノーケリングを楽しむため、毎日世界の各地からダイバーや旅行者が集ってきています。
年の瀬も迫った12月30日、カイロからのバスに揺られてダハブについた僕たち。もちろん目的はダイビングです。ゆんじょんはオープンウォーターライセンスの取得、僕は紅海を満喫するのが狙い。
ところが僕は、なんだか咽が痛くて調子が良くない。風邪かも知れないので、しばらくダイビングは控える事にして、ゆんじょんだけライセンスを取るためのショップ選びを始めました。
アジア人観光客もたくさんいる町なので、韓国人や日本人のインストラクターも数人常駐しています。3箇所ほど話を聞いて、気の合いそうなヨンさんという韓国人インストラクターのいるOctopus Diversに決定です。
ここのボスはカナダ人。以前は格安なことで有名なダイビングショップで仕事をしていたヨンさん、エジプト人と馬が合わずOctopusに移籍したそうです。なんだか分かる気がします。以前のショップでもとても評判が高かったようなので、カナヅチのゆんじょんも安心して受講できそうです。
僕の風邪がだんだん本格化して寝込んでいるうちに新年を迎え、ゆんじょんは元旦から学科のレッスンへ。旅行中に、頭を使うことにはすっかりご無沙汰していたのと、韓国語での勉強は14年ぶりとあって大変そうです。無事学科のテストもクリアしたようなので、翌日には実技講習。ダハブではビーチが遠浅で、ほとんどのダイビングはビーチエントリーが当たり前です。従って限定水域講習もビーチからいきなり海へざぶざぶ泳いで浅瀬で実施します。
スキル講習はまったく問題なかったようなのですが、ウェットスーツにぴったりのサイズがなかったため、水が入ってしまい寒くて仕方がない。ダイビングリゾートとは言え、冬なので風も寒いし波も荒い。すっかり血の気が引いた顔をしてホテルに戻ってきたので、びっくりしました。
翌日の実技講習で事件は起きました。寒さを我慢して講習を受けていたゆんじょんは、ハイポサーマル(低体温症)に罹ってしまったようです。水中で錯乱状態になり、レギュレーターを自分で外して、インストラクターからもらったオクトパス(緊急用レギュレーター)も受け付けず、8mの水深から水面まで緊急浮上させられて、病院に運ばれました。意識もしっかりしていて大事には至らなかったようですが、病院で酸素吸引とリンゲル点滴をされ、たくさん薬をもらって、ホテルまで戻ってきました。
そんなことが起こったとも知らず、寝込んでいた僕はふらふらのゆんじょんを見てびっくり。
ちなみに、救出される時にイケメン欧米人にお姫さま抱っこをされたらしいのですが、結婚式以来初めてだったそうです。死にそうだったかも知れないのに、のんきなものです。
恐くて講習を続けられないかとも思いましたが、子供用スーツと子供用ブーツ、ベビータンクをショップに用意してもらったことで、寒さが和らぎ、今では無事に講習を続けています。少し楽しくなってきたと言っています。
おおーーつ!!!ゆんじょんさん!!!大丈夫ですかっ!!!救出役はわしの出番だと思ってましたが、わしは赤フンであるので、かっこいいっちゃ格好いいんですが、なんでイケメンの金髪にお姫様抱っこされたのを憶えているんだい? こーへーさんも「風邪、はやく治そ!」ってCM美女が言ってますよ。では、続編見ます。はァー、正月から心配してましたからね。ゆん様の好奇心も並じゃない。もう、いたたまれませんよ。男として。