蒸し暑い。ホソンとその彼氏に見送られて、ソウルの空港から済州島へ向けて出発したのは3日前。済州に到着しても空港の中はエアコンが効いていて、暑苦しさを感じません。今回済州はレンタカーを借りて島を巡ることにしていたので、AVISとの契約のため外へ出た途端に、肌からしみ込んでくるような暑さに捕らわれます。
気温はベトナムやタイで体験したものと比べれば低いのでしょうが、不快指数は最大です。汗が次から次へと噴き出してTシャツを瞬く間に濡らしていくのを感じます。レンタカーのエアコンが無ければ大変な旅になっていたでしょう。
島にはいくつか見どころがありますが、今年6月に世界遺産として登録された城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)や漢拏山(ハンラサン)がもっとも客を集めているようです。ちなみに数々の韓流映画のロケ地としても有名で、日本のおば様達を引きつけてやまない。初日はホテルに着いたら夜だったので、そのまま熟睡。ソウルのゆんじょんの実家がエアコンが無くて寝苦しい日が続いていたので、久しぶりに深く眠った気がします。翌日昼前から行動を開始しました。
最初に訪れたのは、龍頭岩。山の神に怒りをかった龍が石にされてしまったという伝説の残る、龍の頭の形をした岩が海岸に突き出ている場所です。数組の観光客を除けばのどかな雰囲気です。岩が意外と小さく、感動も小さい。朝焼けや夕焼けを背景に見たら、印象が違ったかも知れません。
次はトッケビ道路。トッケビとは精霊という意味。英語ではMysterious Roadと標識に書かれていました。上り坂なのに自動車をニュートラルにすると下ってゆくという、錯視現象を体験できるポイント。他の車が停まっているのを確認して、僕たちも挑戦。確かに上り坂に見えるのに、前にするすると進んでいきます。以前は一本道だったと思われるのですが、あまりにもたくさんの観光客が路上で車を停めて体験するので、バイパスが造られていました。この辺りはレンタカーがないと楽しむことの出来ない観光ポイントですね。
続いて島の中心にある死火山の漢拏山。韓国最も高い山が離島にあるのは不思議な感じがします。山は歩いて登れるよう開山されているので、たくさんトレッカーがいますが、僕たちは麓の駐車場から眺めるだけ。ここだけは高度があるので肌寒い感じがします。
そこから南下して済州中文大浦海岸柱状節埋帯という、済州島が形成される際に六角形の柱のような形で岩がせり上がって密集している場所。自然に出来たとは信じられない不思議な造形です。ゆっくり見たいのですが、暑い。暑くて、ついつい車に戻りたくなってしまいます。
最後に滝を見に行きました。天地淵の滝は同じエリアに3段分の滝が落ちていて、一段目は雨量が多い時にだけ滝のようになります。今は雨が少ないので、岩の間から水が滲み出して集った大きな池が見えるだけ。それでも滝つぼが深いのか、水の色がすごく濃いブルー。
2段目の滝は7メートルくらいの幅で勢い良く水が落ちています。水しぶきに虹が架かっていてきれい。水が冷たくて、蒸し暑さを忘れる事の出来るひとときです。
3段目は随分と離れた場所にありました。2段目でも相当な数の階段を上り下りするので疲れますが3段目はそれの倍以上。しかも、行き着いた先は滝から20mほど離れた展望台で水に触れることが出来ません。ぶるぶる震える足を引きずって駐車場に戻ると、3段目は階段が厳しいので、お年寄りと子供には勧められないと書かれているのに気がつきました。
翌日早起きして城山日出峰の朝日を見に行くつもりでしたが、寝坊の僕たちは朝起きられずにギブアップ。結局9時過ぎに出発して10時ごろ到着。到着してすぐに朝早く来なかったことを後悔しました。なにしろ蒸し暑さが尋常ではない。韓国全体で猛暑との予報がでていたらしく、城山日出峰のような歩く場所を訪れるには不適切極まりないタイミングです。
城山日出峰は火山の噴火活動でできた海の中の小山で、頂上がカルデラになっている。30分も歩けば頂上まで到達できる高さですが、階段を上がるたびに吹き出る汗は脱水症状になってしまうのではないかと心配になるくらい。
何とか頂上に到達すると、海に接したカルデラの上ではとても良い風が吹いていました。緑でいっぱいのカルデラが、溶岩石の突起に円く囲まれている様は、人間には及ぶことすらできない自然の力を感じさせます。
城山日出峰を後にして、旧来の村をありのまま保存しているという城邑民俗マウルへ。着いてすぐにとなりの食堂で食べた黒豚(済州の名産)の焼き肉がとても美味しい。野菜のナムルとご飯をサンチュに包んで食べるとバランスよく食べられます。お腹いっぱいになったら歩いて村へ。
済州独特の建築方法で作られた茅葺きの家には、まだ住んでいる人のいるものもあります。済州島出身のガイドさんが案内しているグループの説明をこっそり盗み聞きしながら、あちこちの建物を見て回ると、広場のそばに昔のトイレが。トイレは小高い場所に作られ、座る位置にある穴がとなりの豚小屋と直結しています。人間の排泄物がそのまま豚の餌になる仕組みで、こうやって育てられた豚の肉が美味いと言われているらしいのですが、現在は行われたいない様子(安心)。2匹の黒い仔豚がブーブー鳴いて寄ってきますが、とても臭いので少し離れて眺めるにとどめておきました。
済州島は日中は暑さで倒れそうですが、夜になると涼しくなって過ごしやすい所です。レンタカーを借りれば島内を自由に走り回れて、荷物の煩わしさからも解放されるうえ、日中の暑さも避けることが出来ます。スキューバダイビングや潜水艦に乗っての海中散歩ができるなど、マリンスポーツにも事欠かない。また来ることがあれば、今回とは違った楽しみ方がありそうです。