Halfmoon Bayの港までアベ君が迎えに来てくれました。家はこぢんまりとしているけど可愛らしい建物で、インテリアもオシャレな感じで、ついつい長居したくなる。彼のデザイナーとしての才能はともかく、奥さんの趣味がとても良いことが伝わってきます。
外から中から、お家をじろじろ見せてもらった後、4人で近くの飲茶レストランに食事に行きました。
中国系の住民が多い地区にあるこのレストラン、休日のお昼時ともなると行列が出来るほど混雑するとか。僕たちが到着した時も入り口で待っている人が何人かいました。
店の中は、広東語が飛び交い、食器のぶつかる音が響き、飲茶の上げる湯気と匂いに食欲を掻立てられる、独特の空間。僕たちも中国人に見えることを含めれば、現地人らしき人は一人もいません。店員さんも英語が話せる人は少なく、僕たちとはカタコトの単語でやりとりします。幸いにして、ワゴンに乗って運ばれてくる料理を指差せば注文出来てしまうので、不自由は感じません。肝心の味の方はというと、香港で何度か食べた飲茶が色褪せるほど、ウマイ。
僕たちの今日のメインイベントは、キャンパーバン(キャンピングカー)の受取り。英語圏なのでネットで予約するまでは何ら問題ないのですが、キーウィ訛りが良く聞き取れないこともあって何かと不安。レンタル会社まで友人夫妻についてきてもらいました。
僕たちが予約したのは、Fiat Ducatoという車体を改造した2〜3人用の車。四角い箱形のいわゆるキャンピングカーというデザインでは無く、換気扇やクーラーのための煙突がついていることを除けば、見た目はワンボックスの業務用バンと何ら変わりありません。最新型なので、まだ扱っているレンタル会社も少ない。3週間の間、毎日寝泊まりすることを考えると、使い古されたオンボロキャンピングカーでガッカリしたくなかったので、若干高めのレンタル料でも新しい車体を選びました。幸にして僕たちに割り当てられたのは、ピカピカの新車。まだ8kmしか走っていません。
レンタル会社のスタッフから、契約書類の説明を受け、エンジンのかけ方から、給水やカセットトイレの扱い方まで、キャンピングカー生活に必要なことは何でも教えてもらいます。担当者は聞き取り易い英語で話してくれたので、契約に全く問題ありませんでした。
それにしても新車と新築が同時にやって来たかのような楽しさがあります。メインキャビンにはたっぷりの収納があるし、電子レンジやトースターなどの家電品も、なべ食器類もぜんぶ3人分揃っています。トイレシャワーは、さすがに使いにくそうですが、それも慣れれば大した問題ではなさそう。最後にワインをプレゼントしてくれたのは、なかなか気が利いています。
これまで乗用車しか運転した経験がなかったので、実際走ってみると、アクセルやクラッチの角度がとても違和感があり、最初は何度もエンストしました。
受け取りが終ったら、そのまま近くのスーパーで買い物。今後の生活に必要な食品や調味料、洗剤などを買い揃えると結構な量になります。とりあえず最低限必要なものをと、塩コショウや今日明日食べる食材だけを買って店を出ました。
気配りの細かな友人夫妻は、僕たちの買わなかったお菓子やワインと一緒に食べられるチーズなどをプレゼントしてくれます。とても嬉しい。スーパーの駐車場で別れを惜しみ、最初のキャンプサイトへ向けて出発です。
教えてもらったルートが工事で通行止めだったこともあって、何度か道に迷いました。雨が降ってきて心細くなったりもしましたが、無事オークランドの北にあるワイウェラのFamily Parkに到着。予定より2時間くらい遅くなってしまいました。
真っ暗な中、雨に濡れながら、電源を繋げて何とか落ち着く。キャンピングカーの旅は今日が初めてだと言うと、キャンプサイトのオジサンがいろいろと親切に教えてくれます。二人とも疲れてしまって、何も食べずにシャワーを浴びて寝ました。
翌朝早く目が覚めると、少し肌寒い。夜は暗くて何も見えませんでしたが、車の扉を開けて外に出てみると、海がすぐ目の前に迫っていて素晴らしいロケーションだという事が分かります。僕たちより早起きの男性が釣り道具をぶら下げて歩いています。あちこちの芝生の上を歩いているカモやカモメ。朝靄が徐々に晴れてきて、遠くの海岸沿いの岩壁が顔を出す。静かな時間が流れています。
共同トイレで顔を洗って出てくると、いつの間にか起き出したキャンプサイトの住人たち。マオリ族の顔をした子供たちが、まだ雨の乾いていない土の上を裸足ではしゃぎ回っていて、眠そうな顔をした大人たちが共同キッチンで朝食の準備をしています。
僕たちも車で簡単な料理をして、朝ご飯を食べると、元気が戻ってきました。冷たい朝の空気の中、食べる食事はわけも無く美味しい。朝ご飯の後片づけをして、溜まっていた洋服を洗濯機で洗い、初めてのダンプ(トイレや排水の処理)をしたら、再び北に向って走り出しました。