三日目はバンテアイ・スレイと大回りツアーと呼ばれるアンコール・トムの周辺の遺跡を見学しました。
バンテアイ・スレイは東洋のモナリザと呼ばれる、デバター女神像が残されているところです。トゥクトゥクに乗って約1時間の道のり。早朝からの暑さを押しのけるように、緑の多い道路を走り抜けるのはとてもいい気分です。シェムリアップ市内とは違い、道路脇の民家も木造が多くのどかな風景が続きます。トゥクトゥクの揺れと風に、少しうとうとし出した頃に到着しました。
バンテアイ・スレイはこれまで見てきた遺跡のどれよりも古い時代に作られたものです。アンコール・ワットやアンコール・トムのような壮大さは無いものの、精巧なレリーフが施された建造物がとても良い状態で保存されています。
とても石を彫って作られたとは思えない彫りの深いレリーフに思わず溜息が出ます。岩石を相手に想像を超える時間を掛けて彫ったのでしょう。果たして現代の職人に同じ作品が作れるのか疑わしいほど。
それにしても良くこれほどまでに良い状態で残ったものだと思います。次から次へと現れるレリーフは、寺院の中央へ行けば行くほどその精巧さと精密さを増してゆき、最後はデバターでクライマックス・・・といく筈だったのですが、肝心のデバターのある建造物は修復のためかロープで保護されていて、かなり遠くからしか見ることが出来ませんでした。
残念ではありますが、全体に赤っぽい岩石を多用したこの遺跡は女性的な雰囲気を伴って強く印象に残ります。
バンテアイ・スレイの後は、プレ・ループ、東メボン、タ・ソム、ニャック・ポアン、プリア・カーンと立て続けに大回りツアーの遺跡を巡り、最後に夕日の名所と言われるプノン・バケンに足を運びました。
大回りツアーの遺跡は、事前に情報を仕入れておかなかったので、何が見どころかが分からないまま見ていました。後で調べてみたら彫刻に深い逸話があったりして、ちょっと残念な気分です。
プノン・バケンは山が丸ごと寺院になっていて、頂上に遺跡が残されているような場所。頂上へ登るためには、人のための登山道とエレファントライドのためのものと2種類あります。そこで以前から乗りたいと思いつつも機会を逸してしまっていた象に乗ってみました。
山に登るだけを考えると少し奮発しすぎな料金を払って、ゆらゆら揺れる象の背中へ。そのまま揺られながらゆっくりと、しかし確実に人間の歩みよりは速く頂上へと進み、10分も経たないうちに到着。記念写真を撮ってもうおしまい。象使いのシャツの背中にチップ用のポケットが付いているのが笑えます。
プノン・バケンの頂上にはすでに100人を超える観光客が夕日を待ちながら集まっていました。みな思い思いに座り込んだり、写真を撮ったりしていますが、徐々に雲行きが怪しくなって来ているのを心配しているようです。
そろそろ夕日が見えようかという時間に、西の空はすっかり雨雲に隠れてしまい、太陽は疎か夕焼けすら見えなくなってしまいます。一通り写真も撮ったし夕日も見えなさそうなので帰ろうと遺跡の階段を降りて、歩き始めた途端にどしゃぶりの雨。
傘は持っているものの、頭とバッグを濡らさないようにするのがせいぜいです。山の麓で待っているトゥクトゥクに到着する頃には下半身はすっかりびしょびしょになってしまいました。トゥクトゥクの走る道も冠水して川のようになってしまいました。