その後1時間のドライブの後、リスボンに到着。ここまで来ると車の数も多いし、スペイン人並に飛ばしています。高速道路を降りてすぐのところに予約したホテルCampanileがあります。周囲はスーパーや大型店が並ぶ郊外のショッピングエリアという雰囲気で便利そう。ホテルの宿泊客が、(この時だけ偶然なのか)東欧系の顔つきの悪いオジサンばかりで、何やら危なげな感じ。
割り当てられた部屋に入ると、何かが臭い。石油っぽい臭いと洗剤っぽい臭いがまじったような感じ。あまりに臭いがひどいので、フロントで部屋を変えてもらえるよう交渉。フロントの係は、母国語以外はスペイン語とカタコト以下の英語しか操れないので、意思疎通に苦労しました。同じ系列のホテルでも、国によってずいぶん質が異なるようです。
隣の部屋に変更してもらって、(まだ少し臭い気がするけど)とりあえず一段落。この日はスーパーで買い物をする以外は何もせず、すぐに寝てしまいました。
翌日からリスボン観光へ繰り出します。
最初に訪れたのは、ジェロニモス修道院。ヴァスコダガマのお墓がある事で有名な、大航海時代のポルトガルの繁栄ぶりを想像できる建物です。メーデーなので、美しいと評判の回廊が閉まっています。修道院の外部は、壁はシンプルですっきりしているのに、窓枠やバルコニー、門などの周囲だけ、これでもかというほどに細かなレースのような装飾が施されたマヌエル様式と言われるもの。ねじられたデザインの柱が特徴です。白い大理石で造られているので、日光が反射して眩しい事この上ない。
内部に入ってみると、とても広い聖堂の空間に、細く目一杯装飾された柱が立っているのが心地よさを作っています。ヴァスコダガマのお墓は、入ってすぐの左手にあり、たくさんの人がそこで立ち止まって写真を撮ったり、こまかな装飾や功績を綴った碑文を読み取ったりしています。奥のチャペルには大航海時代に活躍したエンリケ航海王子の墓も。
3つあるチャペルのひとつで、洗礼式が行われていました。観光客を閉め出して行われた洗礼式を、チャペルに続く階段の下から眺めさせてもらいました。控えめなドレスやスーツで着飾った100人くらいの来訪者に囲まれて厳かに抑揚なく進行する式には、たびたびオルガンの伴奏に合わせて歌われる音楽が伴います。ポルトガルのフォルクローレの響きが耳に心地よい。
修道院を出て、広場を渡ってテージョ川に面して立つ、発見のモニュメントまで歩きます。公園の中では大学生と思われる黒いマントを来た男女が、ギターにあわせて歌を歌い、通りすがりの人々を楽しませていました。やはりフォルクローレのメロディーが頭の中に張り付いて離れなくなる。
発見のモニュメントは、想像していたよりも巨大で、勇壮な建築物でした。川にせり出すように立つ船首の部分に、エンリケ航海王子を先頭に歴史を飾る航海家らが、綱引きをするかのように繋がって彫り込まれています。川の土手の部分は45度の角度で川底に向かって石積みで作られていますが、この部分を器用に自転車で走り、人々の注目させている男の人がいます。何度かリハーサルを繰り返して、発見のモニュメントの下を潜ると、どこからともなく拍手が。
モニュメントの手前の地面には、タイル画で作られた世界地図が埋められています。世界地図にはポルトガルによって各地が発見された年号がかかれており、これまで訪れた北南米やアジアの国々が何年に発見されたのかを、ひとつひとつ確認。日本は1541年です。
続いて、ベレンの塔へ。テージョ川の河口側に建てられた塔は、とても砲台として作られたとは思えない瀟洒な造り。川に突き出た立地のため、川の真ん中に浮かんでいるようにも見えます。しかしこちらもメーデーにつき休館。日曜日でも休みにならないのに、新年とクリスマス、そしてメーデーだけ休館。たまたまその日に当たってしまったのは不運としか思えません。