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2008-07-192022-02-11

巡礼路を辿って

スペイン北西部に位置するサンティアゴデコンポステラは、イエスキリストの12人の使徒の一人、聖ヤコブの墓がある場所として、ヨーロッパ各地から巡礼者が訪れる場所。フランスとスペインの国境に横たわるピレネー山脈を越え、サンティアゴデコンポステラまで続く道は、カトリック信者たちが歩く巡礼路として有名です。
その途中にあるレオンとブルゴスは巡礼の中継地点として発展してきた街。シーズンオフにも関わらず、多くの旅行者を受け入れています。

土曜日のレオン市内は、閑散として人通りが少なく、商店街の店もそのほとんどがシャッターを下ろしています。大聖堂のある広場へと続く、観光客相手の店が並ぶ通りだけが、唯一の賑わいを見せています。

レオンの大聖堂には、昼休みの30分前に到着。見学には時間が足りませんが、このタイミングを外すと、四時半まで入場出来なくなってしまいます。大慌てで門をくぐる僕たち。
ステンドグラスの美しさで有名な大聖堂。中に入ってみると、観光客が皆揃って頭上を見上げています。色使いもスタイルも様々なステンドグラスが、広い教会の壁をぐるりと覆っていて、とても美しい。天井がとても高く、高さいっぱいにステンドグラスを張り巡らそうとするかのように、3段に組まれた窓が作られています。透過光の色彩の渦にくらくらしそう。
中央の祭壇には、ガラスの窓越しで見づらいけれど、大きな3面のフレスコ画が飾られています。ステンドグラスを通ってくる光と重なり、芸術作品のような視覚効果を作り出しています。
身廊を一周しているうちに、昼休みの時間。他の観光客と一緒に追い出されてしまいました。聖堂内にある美術館の展示も気になっていたので、悔いを残しつつ大聖堂を出ます。
外から見た大聖堂は、フランスゴシック建築の見本といった感じの均整のとれた美しさ。左右の大きな鐘楼と身廊部分を繋ぐ梁が、危なっかしいほどに華奢に見えます。

同じくレオンの見どころのひとつ、サンイシドロ教会は、かつてのレオン王国の宝物を展示しています。中でも霊廟の天井に描かれたフレスコ画が有名です。外から見ると修復中のため見学出来ないのではと誤解しそう。
ガイドツアーのみの見学となっていて、あいにくスペイン語だけ。しかもガイドさんは早口で、一言も聞き取れない。ガイドに従って付いてゆくと、美術館の宝物を見て回った後、最後には霊廟にやってくる仕掛けになっていて、きちんと全ての展示が見学出来ます。

金ぴかの彫像やら箱やらが防弾ガラスケースに入れられているところは、なんだか物々しい感じ。何百年もの時間を経た、驚くほど緻密な工芸品です。
写本や書簡を集めた図書館のような場所には、これまで見た事のないような古くて、保存状態の良い書物が入った書棚が壁一面にあります。時の経過とともに皺が入って変形してしまった革の装丁が、書棚に並んでいます。中にはポスターほどもある巨大なものも。マニュスクリプト好きな僕には堪らないコレクションです。ニューヨークのクロイスターズ美術館で見たものより全然興味深い。

サンイシドロ教会最大の見どころ、霊廟の天井画は、鮮明な白、黒、レンガ色のほか数種類の黄土色を使って描かれた大作です。聖書に書かれた出来事や地元の風物を描いてあり、人物や動物が所狭しと天を舞っています。どの登場人物も、上目遣いで虚ろな眼差しをしているところが面白い。いくつかは、美術館入口のミュージアムショップでTシャツにプリントされて売られていました。

ブルゴスはずっと雨が降っていました。町に到着すると、そのまま郊外のホテルへ。
国道沿いに並ぶホテルは、ぐずついた天気のせいもあって、どれも寂れて怪しげな雰囲気に見えます。それらの中でも最も市街から遠い場所にあったのが、Hotel Domus Buenos Aires。駐車場には如何にも出稼ぎ労働者っぽい風貌の人たちがタバコを吸っていたり、壁に書かれたホテルの名前がはげ落ちていたり、危ない場所に来てしまった空気が漂っています。
ボロボロの建物とそれよりはちょっとまともな建物の二棟あり、出来ればボロボロのほうでありませんようにと祈りながらバックパックを担いでフロントへ。
割り当てられた部屋は、まともな方の建物の、激しく軋みながら動くエレベーターで上がった三階。ホテルの内部は古くなっていても、とてもキレイに維持している様子。ボロボロの建物の方はレストランになっていました。部屋の中もなかなか清潔で居心地が良さそうです。ロビーだけはネットも繋がるし言うことなし。

翌日市内に入り、雨の降る中、大聖堂だけ見学しました。ここの大聖堂は世界遺産に指定されています。白い大理石で造られた高い尖塔が、サンフェルナンド広場に面して建っており、周りを建物に囲まれて窮屈そう。
中に入ると、ゴテゴテのゴシック装飾が僕たちを出迎えます。どのチャペルも、天井の梁の一部を赤く塗ったり、色鮮やかな彫刻を飾ったりしています。身廊中央の祭壇は金ぴかの彫刻の集りで、その手前にはレコンキスタの英雄エルシッドの墓が。チャペルを隔てる鉄格子や聖歌隊の座る椅子、階段などは、隙間さえあればとにかく全部装飾してしまえと言うが如く、細かく彫刻が施されている。歴代の司教の肖像画を飾った部屋には、天井までびっしりと額縁に嵌った絵が連なっていて、迫力満点。
霊廟に、他では見た事のない、毛むくじゃらの全身タイツのようなものを着た男の彫刻があちこちに彫られています。股の間に葉っぱをぶら下げているのを見ると、着ているものが毛むくじゃらなのではなく、全身の毛が濃い(しかもカールしている)のかも知れません。こんな彫刻はスペインだけでなく、世界中の宗教建築でも見た事がありません。
素晴らしい大聖堂ですが、地下に新しく作られたギャラリーだけはいただけません。お金の使い方を知らない事がバレバレの質の悪い展示内容で、大聖堂の歴史についての説明や現代アーティストによる彫刻などが並んでおり、悪趣味な照明や音楽がせっかくの大聖堂の品格を落としています。

大聖堂を出たら、腹ごしらえ。周辺のレストランは、観光客を当てにした不味そうな料理ばかりなのに、各国語に翻訳されたメニューが貢してか外国人で満席。大聖堂の目の前にある小さなバルは、地元の人がカウンターで楽しそうに食事をしていたので、ここに決定。タパスも美味しいし、サングリアも格別。やっぱり地元の人で賑わう店は間違いがありません。ついつい注文し過ぎてしまいます。

次の目的地、ビルバオでは晴れていることを祈りつつ、巡礼路と平行して走る高速道路を再び走るお腹いっぱいの僕たちでした。

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