ホテルリッツやプラザアテネなど有名どころはもちろんのこと、パリには数え切れないほどホテルがありますが、概して安いホテルは少なめ。折からのユーロ高も手伝って、貧乏旅行者の僕たちにとってパリ市内のホテルは、そう易々と手の出せるものではありません。
何人かのパリ在住の友人に手伝ってもらって、短期貸しアパートを見つけて借りることにしました。
短期貸しアパートとは、契約などの煩わしい手続き無しで、その名の通り、数日から数ヶ月までレンタルできるアパートのこと。日本人観光客や留学生などを相手に、日本人が所有しているアパートを貸している事が多く、双方日本人のため何かと安心できます。
今回借りたのは、Guy Môquetというメトロの駅近くにある小さなステュディオ(ワンルーム)。18区という中心から外れた場所です。中心部のオシャレなサンルイ島にあるアパートも検討しましたが、生活のしやすさや交通の便からGuy Môquetを選びました。
アパートは昔の女中部屋を改装した9階建ての最上階にあります。手動のエレベーターや窓から見える煙突だらけの風景が、パリらしい雰囲気を醸し出しています。部屋はキレイに掃除されているし、生活に必要な家具や電化製品、キッチン用品、リネンやタオルなどもそろっていて快適そのもの。もちろんインターネットも常時接続できます。
ホテルやゲストハウスとの大きな違いは、いつでも洗濯機が使えることと、荷物に鍵をかけずに出歩けること。洗濯は、ちょうどモロッコで溜まっていた洗濯物がたっぷりあったので、到着して最初にしたことのひとつです。シャツにアイロンをかけらえたのは旅行に出て以来のことです。
アパートの近所にはスーパーマーケットだけでなく、チーズ屋、肉屋、パン屋などが集った商店街もあります。早速買い出しに出かけて、バゲットやパスタ、ワインなどを入手。久しぶりのゆんじょんの手料理は涙ものです。
建物全体でセントラルヒーティングされているため、僕たちの好きなように暖房を調整することは出来ず、常に少し寒いくらいの温度です。キッチンでお湯を沸かしてお茶やコーヒーも飲めるし、布団も暖かいのでそれほど苦になりません。
重宝していた洗濯機ですが、滞在している途中で壊れてしまいました。フランスの洗濯機には静音設計など無いのか、昔から大きな騒音を出すものです。ところが、アパートに付いているそれは、あまりの振動で脱水の途中で、独りでに手前に進み出てくるという問題児で、だんだん状態が酷くなってくるようなので大家を呼んで見てもらいました。
最初は洗濯機の据え付けが悪いと、あれこれ調整をしていた大家さんですが、20cmほどもあるボルトがボトッと落ちるのを見て諦めたよう。当然すぐに修理など出来るはずもないので、最後の洗濯は大家さんにお願いしてやってもらいました。
パリに滞在していた8泊9日の毎日、ここを根城として市内のあちこちを観光しました。
毎日疲れて帰ってきても、同じ部屋の同じベッドに寝転がれるというのは、とても幸せなことだと感じずにいられません。