ケルンで泊めていただいた友人は映像作家のAさん。普段は映像関連の仕事をフリーランスでしていますが、時には自分の作品を作って発表しています。彼女の作品のひとつに飛行機雲を主題にして、そこはかとなく作者が日本人であることを感じさせる、ゆったりとしたショートフィルムがあります。
映画でもテレビでも、飛行機雲だけをずっと映している映像なんて見たことがありません。画面は飛行機雲(普通ではあり得ない軌跡を描く)だけで、国際電話での通話を通して全てのストーリーが描かれて行きます。
国外に住んでいる日本人だけが持つ、そして日本語という言語だけにある特徴的な応対をリアルに描き、展開するストーリーに、自分がフランスに住んでいた時の事をとりとめもなく思い出しました。僕はあまり手紙や電話が得意ではないので、フィルムで繰り広げられるような思い出はないのだけど、日本を飛び出してしまったことが原因でセンチメンタルになったり、日本に住む知人たちに対してやり所の無い意地っ張りを発揮させたりはしていたように思います。電話で交わされる会話から、相手同士の息遣いや仕草まで読み取れるほど音質が良くはない国際電話ならではの距離感、あるいは国際電話だから許される自己演出のようなものまで思い出してしまうような、そんなフィルムでした。
その後、ヨーロッパの高速道路を走るたびに、飛行機雲を意識するようになっています。気がつけば、たくさんの飛行機雲が交差し、大空に僅かな時間だけ残像のように刻まれてゆく飛行機雲に、今もまた日本を離れてヨーロッパを駆け足で旅行している自分たちを、振り返らずにはいられなくなってしまいます。
はじめまして。そうちゃんです。
ずーっと始まった頃から時々チェックしていましたがなかなかコメントが残せずにいました。
こうへいさんはとても文才があるかたですね。写真も横のアルバムを見る限りでは構図の撮り方が素敵なので見たい気持ちもありますが、
私の目で見たいもの達なので、実際に見るまではお預けにしようと思っています。でも文章を読むだけでも、用意に想像できるので楽しんでますよ。
もしオーストラリアへくることがあればぜひ声をかけてくださいね。
そうちゃん。こちらこそはじめまして。こうへいです。
コメントありがとうございました。知らない方からコメント頂くのは初めてなので、ビックリしました。
また、お時間のある時にでも見に来てください!