クスコは世界遺産として登録されている町なので、とてもキレイです。キレイと言うのは、インカ時代の石組みやスペイン統治時代のカテドラルなど古くて美しい町並みが保存されているということのほかに、町の清掃が行き届いていて道路や広場が比較的衛生に保たれているということの両方あります。
町の中心にあるアルマス広場では、行き交う人の半数以上が外国人旅行者。ツアーで団体で来ている欧米人もいれば、僕たちのように個人旅行をしている人たちもたくさん。
アルマス広場を中心にして、四方を山が取り囲んでいるので、広場に立つと町全体を見渡すことが出来ます。山に張り付くように建物の並ぶ、町の周辺部が視線の上にある形になります。
僕たちが宿泊しているホステルがあるのも、広場のそば。必然的にどこかに出かけるには坂や階段を登ることに。そしてこれが結構たいへんです。空気の薄い土地なので、階段を10段も登れば息が荒くなり、急ぎ足で歩けば胸が苦しくなってきます。
僕たちは到着したその日と翌日を薄い空気に慣れるための日として、なにもしないことに最初から決めていました。お陰で高山病の頭痛からは解放されましたが、それでも未だに出歩くと息苦しさを覚えます。
いくつかの観光名所を歩いた印象では、この町の見どころは大きな教会や博物館よりも、町並みそのものにあると言えると思います。
インカの複雑な石組みが何よりこの町を特別なものにしていて、ぎっしりと隙間なく詰まった石の壁があちこちの通りに見ることが出来ます。緻密で高度な技術を駆使して作られた石組みも、人間の手によって作られた温かさのようなものが感じられ、暗灰色の石組みの上に立てられた、真っ白なスペイン風の建物とのギャップがまた面白い。
限りなく観光客向けですが、伝統衣装を身に着けたインディヘナのおばあちゃんや少女たちが、リャマやアルパカや山羊を連れて石組みの壁に囲まれた通りを歩いていると、とてもフォトジェニックな風景になります。
観光名所など何も無くても、狭い小路から見上げる青空の美しさや、通りのがたついた石畳、夜に見る、遠くの山の家々の灯が、この町の財産です。
今週は特別な行事があるのか、アルマス広場で昼間はブラスバンドの演奏、夜は花火と立て続けにイベントがありました。そのクライマックスとも思えるパレードが広場で行われていました。国旗が掲揚され国歌が歌われると、町の幼稚園から大学、労働組合のような集りや宗教団体、軍隊までが、さして広くもない広場をパレードしていきます。
町の住民は大喜びで、自分の知り合いが歩いてくると必死になって写真を撮ったり、大声で呼びかけたりしていますが、スペイン語を話さない観光客達は何が起こっているのかよく分からないまま、沿道に座って眺めています。でもなんだかとても楽しそうで、恥ずかしそうにパレードしている人たちにとっては晴れの舞台だということが伝わってきます。
町の人に交じってパレードを見学していたら、高地の太陽の強さをすっかり忘れて、ひどい日焼けをしてしまいました。眼鏡の部分を残して顔が真っ赤です。頭皮や手の甲も少し赤くなっていて、シャワーを浴びると痛い。山の太陽は油断出来ません。日焼け止めが必須。