昼過ぎにコルドバの市内に到着しました。
昼食を摂るため、地下の市営パーキングに駐車し、階段を上ってすぐのところにあるビュッフェスタイルの店に入りました。なんでもひとり7ユーロ(約1,251円)で食べ放題。安さには勝てません。
店の中に入って初めて気がつきましたが、そこは中華料理の店。久しぶりの麺やチャーハンに食が進みますが、スペインでの食の安全性ってどうなっているんでしょう?
移動が短かったので、そのまま観光する事にしました。
市内最大の見どころはメスキータ。西ゴート王国時代のキリスト教会として建立され、8世紀にイスラム教徒がコルドバの地を占領するとイスラム寺院として建て直されます。その後13世紀のレコンキスタにおいて再びキリスト教会とされたという、翻弄され続けた歴史を持っています。
外部からはイスラム寺院独特の、シンプルな壁に細かな装飾が施された門のある本体と、お祈りを促すためのアザーンを聞かせるミナレットとして作られた塔を改造した鐘楼の組合せが美しい。日に照らされた鐘楼が、短くコントラストの強い影を落としています。
中に入るとまず迎えてくれるのはオレンジの庭。アンダルシアに点在するイスラムの影響を受けた寺院には、必ずと言っていいほど、こういったオレンジの木の植えられた四角い庭があります。
庭の一角にあるチケットオフィスで入場券を買い、ついでにオーディオガイドを借ります。オーディオガイドは、庭の説明から始まり、寺院の内部まで事細かに解説してくれますが、興味を引くようなエピソードが少ない。これまでの旅行で一番退屈なガイドです。後半は展示物の作者と題名の羅列だけになってしまい、あまりにもひどいので、途中で聴くのを止めてしまいました。
中に入ると静かな空間に見学者のささやき声が反響する、不思議な空間が広がっていました。石で作られた森の木ように、数え切れないほどの柱が天井を支えるように立ち並び、馬蹄型の二重のアーチがそれぞれの柱の間を繋ぐように渡されています。赤と白の縞模様のアーチは、色違いの石を互い違いに組んで実現してあり、時代を経てもその色が褪せる事はありません。
786年に最初にメスキータを建てたアブデラマン1世は、工事の完了を急いだため、もとあったキリスト教会と周辺の建造物を破壊し、その柱や石を再利用して造られています。ゆえに建設当初から、すでに様々な建築様式が混在。その後2度に渡る拡張工事と、15世紀にキリスト教会として改築された事で、さらに多様式の建造物となって現在に至ります。
2度目の拡張部分は工費が足りなかった事から、大理石の床はレンガ組みで誤魔化され、縞模様のアーチも彩色で誤魔化されている点が面白い。メッカの方向を示すミフラブやカテドラルの心臓部、いくつも並ぶチャペルなどを見学して、外に出ました。
続いて、もうひとつの観光の目玉、旧ユダヤ人街へ。メスキータの北にある細く曲がりくねった道が続くエリア全体が、旧ユダヤ人街。アンダルシアの特徴である白い壁が続き、空いている門から中庭のパティオを覗き込むと、噴水や鉢植えが可愛らしく飾られています。すべてのパティオが観光地として公開されているわけでは無いので、入ってもいいのか、写真を撮ってもいいのか分からず、恐る恐る覗き込むのが楽しい。結局怒られるようなことはありませんでしたが。
旧ユダヤ人街の中でも有名なCalleja de las Floresは、日本人を始めとする団体観光客で大混雑しています。皆が競って記念撮影をするものだから、カメラを構える人と撮られる人とが折り重なって、誰が何の写真を撮っているのか分からない。僕たちは少し離れた場所で、通行人が少ないタイミングを見計らって記念撮影しました。
いろいろ観光を終えた後に、予約していたキャンプサイトへ行きチェックイン。普通のホテルをネットで探しても、とても高いところばかりなので、仕方なくキャンプ場です。人が住んでいるのかどうかすら分からないキャンピングカーがたくさん並んでいます。テントやキャンピングカー用の敷地だけでなく、車で旅行する人たちのためのキャビンもたくさんあります。ちょっと洒落たログキャビン風のところもありますが、僕たちが泊まったのはプレハブ避難住宅風、しかも避難生活8年位なところ。とても気分を盛り上げてくれるような風情ではありませんが、3泊だけの我慢です。それでも一泊42ユーロ(約7,509円)もするのだから。
初日に大きな見どころを制覇してしまったので、翌日からはのんびり過ごすことに。
雨が降ったり止んだりの天気でもあったので、晴れた初日に大きな見どころを観光しておいて正解でした。