食後に丘の風車を見て回ると、丁寧に修復された風車が巨大な生き物のように地面から生えています。ドンキホーテは、ここの風車に闘いを挑んだことになっています。
真っ白に塗られた胴体に、黒い三角帽を被ったような屋根、井げたに組まれた羽根の骨組みが、大きく手を広げています。同じような風車が10基ありますが、どれもが少しずつ形が違う。10基のうち2基は実際にまだ動かすことが出来るもので、時間が合えばデモンストレーションをみることが出来ます。風車をいろんな方向から眺めて、充分満足出来たら次の目的地へ。
モタデルクエルボは、風車が建つ丘の麓にある小さな村。僕たちはまっすぐ丘の上を目指しました。
カンポデクリプターナとは違って屋根や羽根が茶色い風車が特徴とのこと。幾分か小さく感じる風車は、整備が行き届いていないのか、最近の強風で吹き飛ばされてしまったのか、羽根がないものがほとんど。Museoと書いてある風車に近づくと、なかから土産物売りのオヤジが声をかけてきます。
丘と村のある部分を除いては、ワイン畑で埋め尽くされた風景。頂上を越えてゆく風が、日に焼けた心地よく吹きます。
この日の最後の目的地は、アルマグロ。ガイドブックには、スペイン屈指の美しさを誇る広場がある古都とあり、セビーリャで泊まったホテルの管理人の勧めもあって立ち寄りました。
長い長方形の広場は、正面に石造りの役場の建物、反対側に花壇や噴水のある公園があり、両側を木枠と扉を濃い緑に塗られた建物に囲まれています。緑色の木枠の建物は統一されたデザインの窓や扉が連なっていて、美しい。その一部に劇場があります。
劇場はスペイン最古のもので、内部を公開しています。コの字型に桟敷席が繋がる真ん中が吹き抜けで空が見える構造。吹き抜けになったアリーナ席の隅に井戸があり、飲酒が禁止されていた劇場内で観客の口を潤す飲み物を、その井戸水で作っていたと言うのが面白い。現在も年に一回の室内楽コンサートなどで、立派に劇場としての役割を果たしているとのこと。
翌日に訪れたのは、コンスエグラ。遠くから、丘の上に乗った11基の白い風車が、米粒のように見えた時には感動しました。風車はとてもキレイに保存されており、どれも真っ白な胴体に太陽の光を反射させて眩しく輝いています。11基のうちのひとつは修復途中で、最新の機材を使って風車が立て直されて行く様子を垣間見ることが出来ました。風車にはひとつひとつに名前が付けられており、その名前が風車小屋の入り口の上に、鋼細工で書かれています。
丘の上に一列に並んだ風車の間に城跡があり、石積みの猛々しい姿の城と、童話的な愛らしい風車のコントラストは忘れ難い風景です。
昼食を求めて町の中に入って行くと、ほとんどの店が門を閉めてシエスタ中。ほとんど人気のない町の中で、空いているバルを見つけ、軽い食事を済ませました。冷えたビール一杯が心地よく体に染みてゆきます。
ひと休みしたらマドリードへ向って出発です。