久しぶりにバスで長時間移動です。
イスタンブールからサフランボルまでの7時間。イスタンブール市内から郊外にあるバスターミナルまで、またサフランボルに到着してからバスターミナルと市内までの、シャトルバスで移動する時間や待ち時間も含めると、ざっと10時間くらいの移動になります。
バスの中にはサービス係が同乗していて、時折飲み物を配ったり、お菓子を配ったりして、世話を焼いてくれます。僕たちにとって物珍しかったのは、手を消毒するためのローションを乗客の手に振りかけてゆくところ。飲食の前後に、最前列のシートから順に、乗客の手のひらにぼたぼた垂らしてゆきます。最初は何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした。ちょっと匂いが強いのを我慢すれば、さっぱりします。
車内のマナールールが細かく、携帯電話はダメ、靴を脱いでリラックスするのもダメ、外から持ち込んだ食べ物すらダメ。頭上の棚に置いた荷物が振動でカタカタ鳴ると、荷物の位置を調整させられることもあります。
バスは休憩のため、数ヶ所のサービスエリアやガソリンスタンドで停車しながら目的地を目指します。
とある休憩所で、昼食時間のため30分間停車とのこと。僕たちもバスを降りて体を伸ばし、何か食べられるものを探しに出かけました。100人は座れそうな大きな食堂も併設する施設で、土産物屋やカフェなどもあります。カフェでチーズだけが挟まった味気ないトーストをひとつ頼んで腹ごしらえ。あまり美味しくないけど、仕方がない。
休憩所の入り口の手前で、ヨーグルトの屋台を見つけました。どういう仕掛けになっているのかは分かりませんが、蛇口のような装置から、アイボリー色の液体がごぼごぼ噴き出していて、四角い桶に溜まって泡立っています。
これをヨーグルト専用の金属のコップに注いで、ストローを使ってグイッといきます。一杯2リラ(約200円)。酸っぱいのと、しょっぱいのと、わずかな甘味が交じって、がぶ飲みしそうな美味しさです。これまでヨーグルトは少し敬遠気味だった僕も、これでたちまちトルコヨーグルト好きになってしまいました。トルコ人はこれに塩を入れて飲みますが、そのままが飲みやすい。
乗客や運転手が休んでいる間に、バスの洗車が行われます。休憩所の洗車係が、柄の長いデッキブラシを使って、フロントグラスを洗います。フロントグラスには虫がぶつかって出来た汚れがたくさん。食器用洗剤で泡だらけにしたら、ホースから出る水で流すだけ。単純な作業ですが、手際が良いので見ていて飽きない。次から次へと到着するバスを、一台ずつ片付けてゆく洗車係。後で車内から見たらまだまだたくさん汚れが残っているけれど、何もしないよりはマシか。
乗客は休憩時間を除いては、シートに座ったまま。まんじりともせずにテレビを眺めているか、眠りこけているか。時折やって来る飲み物サービスで騒めいたと思うと、すぐにシーンと静まり返って、タイヤの音だけ聞こえるようになります。トルコの高速道路は比較的整備されていて、並走する車も少ないことから、スピードを出しても不安は無い。今度トルコを旅行する時には、ぜひレンタカーで走りたいと思います。
トルコのバスターミナルは、大概、町の中心部から遠く離れた場所に作られています。サフランボルでも、バスターミナルに到着したら、セルビスと呼ばれる無料シャトルバスでサフランボルの新市街、クランキョイまで乗せて行ってもらいます。クランキョイの中央広場で降り、次にドルムシュという小型バスに乗ってサフランボルの旧市街まで行く予定。
この中央広場、「日本ートルコの友好の庭」なるものが真ん中に作られていて、日本の伝統家屋(茅葺き屋根)とサフランボルの伝統家屋のミニチュアが設置されていました。その地下は公衆トイレ。
ガイドブックに載っている旧市街へのドルムシュ乗り場まで歩いて、バスが来るのを待っていると、ピックアップトラックに乗った人が英語で声をかけてきました。旧市街まで乗せて行ってあげるというので、(他の国なら絶対断りますが)ありがたくお世話になることに。話始めると、その人は日本語もなかなか流暢。聞けばちょうど泊まろうと思っていたホテルで仕事をしていると言います。他の国ならこの時点でかなり危険人物。絶対に相手にしません。翌日もその翌日も同じホテルで働いているのを見かけたので、全く偶然に親切な人と遭遇しただけのようでした。