遅ればせながらタイのレポートです。
チェンマイに10日間滞在しました。
訪れる前はバンコクの大都会的な景色とは正反対の、田舎の落ち着いた小さな町を期待していました。到着してみるとイメージしていたよりも広い町で、グローバリゼーションブランドの店舗(McDonald’s, Starbucks, KFCなどなど)もちらほら。
少し拍子抜けしつつ到着した僕たちでしたが、最後にはこの町をとても好きになりました。
バンコクからチェンマイへは夜行列車で移動しました。
バンコクのホアランポーン駅の近くに(それでも歩いて20分ほどの距離ですが)ホテルを予約していたので、そこから駅までてくてく歩きます。地元の人を相手にした商店や屋台が建ち並ぶ通りを、亜熱帯のヌルッとした空気をかき分けるようにしてしばらく歩くと、ヨーロッパの鉄道駅を彷彿とさせる大きな空間のある駅に着きます。幸いなことに駅はエアコンが、少し強すぎるくらいに効いています。
駅ではすぐに案内係の数人に取り囲まれました。チェンマイへはどの列車のどの等級で行くのがいいのかを教えてくれます。カトマンズの街角と比べると、格段にサービスの良さや施設の清潔さを感じ、都会の便利さを改めて思い知らされる瞬間です。
アドバイスの甲斐あって手際よくチケットを入手すると、6時間ほど出発までに時間が出来ました。早速駅の構内にあるコンビニを物色したり、ネパールでは勇気がなくて手が出せなかったアイスクリームを買って休憩。暑い日のアイスクリームは絶品です。
その後、駅に近いワット・トライミットに黄金の仏像があるというので、そこまで散策。黄金の仏像は時価120億円とも言われる金の塊で、過去に仏像をバンコクに移す途中で雨が降ったことで人夫が退散、翌日集まってみると塗り重ねられていた粘土が溶けて隠されていた黄金が現れたという、いかにもタイらしいのんびりとしたエピソード付きです。その時に溶け落ちた粘土のかけらもちゃんと展示してありました。
タイに限らず、上座部仏教の仏像はどれもこれも金ぴかかド派手な彩色が施されています。日本の木材やブロンズの地味で味のある仏像を見慣れた僕には、ただ違和感を感じるだけであまり有り難みがあるように見えません。それでも地元の人が参拝に訪れて、床にひれ伏すようにお祈りをしているのを見かけると、とても大切にされていることを感じます。
金ぴかはともかく、ド派手な彩色は日本人では考えつかないような色の組合せで、たまたまペンキがそれしかなかったのか、飛び抜けた色彩感覚を持っているのか判断に苦しむこともしばしば。タイ航空のマークがとても美しいと以前から思っていましたが、紫色の使い方は色使いの勉強になります。美妙なニュアンスできらびやかな印象を持たせたり、他の色との組合せで神妙な印象を持たせたりしています。
日本の仏像はどこかしら威厳のある、落ち着いた静謐な雰囲気を漂わせているのものですが、タイの仏像には緊張感がありません。顔がすこし微笑みがちで、ポーズも様々。涅槃仏に至ってはすっかりリラックスして寝転がっているように見えるので、まるで平日休日問わずごろ寝でテレビを見るタイ人そのもの。
微笑みの国タイランドの所以は、その住人だけでなく仏像にも見つけることが出来ます。
ワット・トライミットを出るとさらにそこから、中華料理の香りを嗅ぎながら、金のネックレスがこれでもかと展示される「金行」の立ち並ぶチャイナタウンを抜け、タイマッサージの総本山であるワットポーまで歩きました。熱暑の中を行くには大変な距離です。くたくたになって到達したものの、その日は日曜日。泣く泣くワットポーを後に、トゥクトゥクをつかまえて手ごろなお寺を巡りました。